一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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高等植物

質問者:   その他   kazuki
登録番号0024   登録日:2004-02-10
 良く、ランは高等植物だときくのですが、高等植物以外の植物はなんと呼ばれているのですか?
また、高等植物とそれ以外の植物との違いにはどのような違いがあるのですか?
簡単な見分け方などありましたら教えて下さい。
また、バイオテクノロジーを用いながら高等植物の電気刺激に対する反応などを調べてみょうと思うのですが、この研究は有用な研究でしょうか?
教えて下さい。お願いします。
kazukiさん

 質問コーナーへのメールをどうも有り難う。
 お尋ねの件について、高等植物という言葉は、一般的には、比較的複雑な体制、例えば維管束を持つシダ植物や裸子、被子植物を指す用語として使われています。それに対して、藻類などを下等植物と呼ぶことがあります。ただ、高等と呼ばれる植物が優れていて、下等と呼ばれる植物が劣っているわけではなく、単に構造上の複雑さの違いや、進化の過程で地球上に現れた時期が違うという程度の違いと考えていただく方が正しいでしょう。
 また、同じ被子植物の中では、ラン科やキク科の植物が最も進化していると言うことがあります。これを高等と呼ばれたのだとすると、それに対して、他の被子植物をまとめて呼ぶ言葉はないように思います。ただ、例えばモクレンの仲間は、原始的(古い植物の)性質を残しているというような言い方をすることはあるかもしれません。
 いずれにせよ、生物学の世界では、高等とか下等とかという言葉に特別の意味は無いと思っていただいた方が良いと思います。その意味では、簡単な見分け方というものも無いと思います。

 もう一つのご質問の、「バイオテクノロジーを用いながら高等植物の電気刺激に対する反応などを調べてみる」ということですが、この質問の意味はちょっと分かり難いですね。高等植物でも電気を使っている生理反応はたくさん知られていて、代表的なものとして、オジギソウが接触刺激を受けた時に葉が順に閉じていく過程では、電気が動物細胞の神経のように流れていることが知られています。また、トマトが虫に食べられたことを同じ植物体の他の部位に知らせるのも電気現象の一つですし、そもそも根から窒素やリンなどの栄養塩を吸収する機構にも電気が関係しています。従って、電気刺激に対する反応という漠然とした言葉では、何を調べるのかは分かりませんが、どの反応も植物の生理活性としては大変重要な機構ですから、どれも有用な研究だと思います。
 また、バイオテクノロジーを使ってという言葉を、例えば遺伝子組換えとか、遺伝子の解析という意味で使うのだとすると、植物の中で電気的現象に関わる分子はたくさん知られていますから、それぞれの働きを調べるという点では、現在最も盛んに研究が進められている分野の一つです。例えば、土壌からより効率よく栄養を取り込む植物や、塩害のひどい畑でも生育出来る植物をバイオテクノロジーを使って作ろうという研究などは、その代表的なものと考えることができます。
 ただ、この辺りの話しは、高校で習う生物学では少し難しいかもしれません。もし、大学でも生物学や農学を勉強したいと考えているのでしたら、入学後にしっかり勉強してみてください。植物生理学とか植物栄養学という分野で、良く研究されています。
広報委員、奈良女子大学
 三村徹郎
回答日:2006-08-10
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