質問者:
公務員
sage
登録番号2401
登録日:2011-03-03
維持管理業務を担当してます。抑草剤について
地域性(北海道)なのか、初夏からの雑草の生長が旺盛で、草刈作業が追いつかず、作業の平準化のため、抑草剤の導入を検討しています。
しかし、以下の2点が不明なため、ご教授願います。
1:薬剤の違い
成長ホルモンのジベレリンの生成を阻害することにより、生育を抑制するとされているが、過剰に散布したときに枯れる薬剤と枯れない薬剤があるとされるが、どこが違うのか?
2:薬害1
自然条件を考慮し散布するものの、全く周囲に飛散しないとは言い切れないので、飛散量により影響度は違うの理解してますが、地下部には影響しないことから、麦・稲などが減収することは考えられるのか?
飛散防止し「粒剤」が良いのは理解しております。
雑ぱくな問い合わせで、お答えにもご苦労されると思いますが、宜しく御願いします。
sage さん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
1.薬剤の違いについて: 雑草抑制剤の働き方の違いに関するお尋ねのようです。抑制剤とされている薬剤には少なくとも2種類あって、1つはジベレリン合成の阻害剤、他はアミノ酸生合成阻害剤です。ジベレリン阻害剤(例えばフルルプリミドールやパクロブトラゾール)は植物の成長を抑制するので、草型の矮小化などにもつかわれるように、ふつう使用する濃度では植物自体を枯死させることはありません。しかし、高濃度では極端な成長阻害の結果、枯死することもあるかもしれません。一方、アミノ酸生合成阻害剤は、ある種のアミノ酸合成を阻害(例えばショートキープ剤やモニュメント剤)して生育、生存に必要なタンパク質合成を阻害する薬剤です。基本的には除草剤で植物を枯死させますが使用濃度を下げることで成長抑制剤とするものです。植物は種によって薬剤に対する耐性、感受性が著しく異なるのがふつうです。市販されている薬剤のほとんどは、広範な種類の植物種についての成長抑制効果、除草効果を詳細に調査されており、1つの製品には、例えばススキには成長抑制効果があるがシバには効果が低く、一部の草種は枯死させる、といった記載があるはずです。これらの違いは、薬剤吸収力、浸透力、転流力、代謝不活性化力などが植物種によって大きく異なるからです。実際にはそれらの違いをうまく利用して、抑制剤としたり除草剤、殺草剤としたりして使い分けているものです。そのため、雑草管理では、保護すべき対象、問題となる雑草の種類、季節、環境などを考慮して抑制剤の種類、濃度、施用時期、濃度などを決定する必要があります。現場での試行錯誤はある程度避けられないと思います。
2.薬害について:ご質問の主旨が分かりかねる点がありますが、施用の仕方についてのことと理解します。抑制剤、除草剤の与えかたには、地上部、茎葉部に散布する処理と土壌灌注あるいは土壌表面への粒剤散布処理する方法とがあります。茎葉部散布では液剤散布、粉剤散布ですので周囲への部分的汚染はさけられませんが、土壌処理では施用範囲をかなり制限することができますので周囲への影響を抑えることができます。薬剤の施用方法もそれぞれの取扱法として明記されていますのでそれに従うか、薬剤の形状、施用法を優先して薬剤を選択するかのいずれかになります。理想的な、きわめてすぐれた選択的効果のある農薬はありませんので、各種の要件を考慮して薬剤を選択することになります。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
1.薬剤の違いについて: 雑草抑制剤の働き方の違いに関するお尋ねのようです。抑制剤とされている薬剤には少なくとも2種類あって、1つはジベレリン合成の阻害剤、他はアミノ酸生合成阻害剤です。ジベレリン阻害剤(例えばフルルプリミドールやパクロブトラゾール)は植物の成長を抑制するので、草型の矮小化などにもつかわれるように、ふつう使用する濃度では植物自体を枯死させることはありません。しかし、高濃度では極端な成長阻害の結果、枯死することもあるかもしれません。一方、アミノ酸生合成阻害剤は、ある種のアミノ酸合成を阻害(例えばショートキープ剤やモニュメント剤)して生育、生存に必要なタンパク質合成を阻害する薬剤です。基本的には除草剤で植物を枯死させますが使用濃度を下げることで成長抑制剤とするものです。植物は種によって薬剤に対する耐性、感受性が著しく異なるのがふつうです。市販されている薬剤のほとんどは、広範な種類の植物種についての成長抑制効果、除草効果を詳細に調査されており、1つの製品には、例えばススキには成長抑制効果があるがシバには効果が低く、一部の草種は枯死させる、といった記載があるはずです。これらの違いは、薬剤吸収力、浸透力、転流力、代謝不活性化力などが植物種によって大きく異なるからです。実際にはそれらの違いをうまく利用して、抑制剤としたり除草剤、殺草剤としたりして使い分けているものです。そのため、雑草管理では、保護すべき対象、問題となる雑草の種類、季節、環境などを考慮して抑制剤の種類、濃度、施用時期、濃度などを決定する必要があります。現場での試行錯誤はある程度避けられないと思います。
2.薬害について:ご質問の主旨が分かりかねる点がありますが、施用の仕方についてのことと理解します。抑制剤、除草剤の与えかたには、地上部、茎葉部に散布する処理と土壌灌注あるいは土壌表面への粒剤散布処理する方法とがあります。茎葉部散布では液剤散布、粉剤散布ですので周囲への部分的汚染はさけられませんが、土壌処理では施用範囲をかなり制限することができますので周囲への影響を抑えることができます。薬剤の施用方法もそれぞれの取扱法として明記されていますのでそれに従うか、薬剤の形状、施用法を優先して薬剤を選択するかのいずれかになります。理想的な、きわめてすぐれた選択的効果のある農薬はありませんので、各種の要件を考慮して薬剤を選択することになります。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-03-04
今関 英雅
回答日:2011-03-04