一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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C4植物とC3植物との違い

質問者:   高校生   kazusan
登録番号2403   登録日:2011-03-05
はじめまして。
学年末試験が明後日にあるのですが、そのテスト勉強中に気になったことがあるので、質問させていただきます。

今、同化の単元で、C3植物とC4植物の違いについて考えていたのですが、
光合成の仕組み的な違いは、C4植物側に「C4回路」があるだけなのに、
①光合成速度が速く、②光飽和点が高く、③最適温度も高く、⑤さらには、水の要求量は少ないとなっています。

①に関しては、CO_2を夜間でも取り込むことができるからと考えたのですが、残りの項目については理由を考えることができませんでした。

これらの項目についての理由を教えていただければ幸いです。
Kazusan さん

このコーナーに質問をありがとうございます。試験への対応には役立たないかも知れませんが、少しだけ説明させていただきます。

ご存知のように、C4型の光合成は葉肉細胞と維管束鞘細胞の分業で行われます。二酸化炭素(CO2)は、先ず、葉肉細胞の酵素の働きでリンゴ酸やアスパラギン酸などの有機酸の形で固定されます。次いで、この有機酸は維管束鞘細胞に輸送されてから脱炭酸されCO2を生み、このCO2はC3植物の光合成の場合と同様な仕組みで同化過程(カルビン-ベンソン回路)に組み込まれます。

この過程の最初の段階を触媒する酵素(RuBPカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ
(Rubisco))は、CO2以外にO2と反応します。CO2が基質として使われた場合に光合成が進行することになりますが、O2が使われた場合には「光呼吸」と呼ばれる反応になります。この際、CO2とO2の反応は競争的です(反応速度は、それぞれの基質の濃度に依存します)。このため、Rubiscoが機能する部位でのCO2とO2の濃度の比率が光合成の速度を決める決定的な要因となります。これらの基質の濃度に影響を与える因子が光合成の速度に影響するわけです。CO2を別の組織で固定し、濃縮してRubiscoに供給できるC4植物と、Rubisco がO2にさらされやすいC3植物との間で光合成の特性に差が生ずるのです。②-④の特性の説明は、試験が終わってからご自分で調べる課題にして下さいませんか。なお、①に関係して、“CO2を夜間に取り込むことができる”と書かれていますが、これは誤りです。CAM植物と勘違いしていませんか。

以上、明解な説明にはなっていませんが、回答とさせていただきます。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2011-03-08
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