一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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連続戻し交配の反復親は死なないの?

質問者:   教員   やませ
登録番号2404   登録日:2011-03-08
植物の戻し交配について疑問をもちました。教科書には次のような記載が一般的です。「取り込ませたい特性を持つ親を一回親(A')と呼び、その特性を元々は持っておらず特性を取り込ませたい親を反復親(A)と呼ぶ。一回親に対して反復親を交配し、生まれた子孫に対しても反復親を交配する。交配して得られた各世代において、望む特性の遺伝子を持った個体を選んで次の戻し交配する必要がある。」なんとなく理解はできるのですが、1点疑問があります。AとA'を交配した時点で、AとA’は同じ時間を生きていると思います。つまり、AとA'を交配してF1が得られた時点で、AとA'は枯れると思います。にも関わらず、なぜ、F1,B1,B2は、それぞれ枯れたはずのAと何回も交配できるのでしょうか? Aは非常に長生きなのでしょうか?? 乱文ですみませんがよろしくお願いします。
やませさま

お返事が遅くなって申し訳ありません。
一般的には、全く同じ個体と掛け合わせるのではなく、同じ遺伝子型を持った別の植物を反復親として使います。典型的には、一回親も反復親も確立された近交系を用います。たとえば、コシヒカリ品種の種を撒けば、どの植物もコシヒカリの性質を持ちますので、同じ植物を使う必要は無い訳です。
日本人に好まれるコシヒカリ品種に、ハバタキ品種の高収量に関与する遺伝子座を導入した例について、名古屋大学の松岡信先生が講演されています。植物生理学会のホームページに詳しい講演記録がありますので、是非ご覧ください(http://www.jspp.org/17hiroba/ippan/shimin2007/nagoya/index.html#nagoya_02)。この例では、ハバタキが一回親、コシヒカリが反復親にあたります。ほとんどすべての遺伝子がコシヒカリ由来で、収量に関与する遺伝子を含む少数の遺伝子だけハバタキ由来という理想的なイネが作られたのです。
JSPP広報委員長
柿本 辰男
回答日:2011-03-28
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