植物Q&A

チェックリストに保存

ウメとサクラの開花する時期について

質問者:   教員   のがん
登録番号2405   登録日:2011-03-08
本州ではウメは2月、サクラは4月初めに咲きますが、北海道・札幌ではサクラは5月初め、ウメは5月中旬に咲きます。福島県などでは、ウメとサクラが同時に開花するようです。この違いが生じる原因となる開花のしくみについて、ご教授いただければ幸いです。
のがん様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
"Im wunder Monat Mai" という言葉で始まるハイネの詩があります。”素晴らしく美しき五月に”という意味ですが、このようにドイツなどのヨーロッパ諸国では春は5月にやってきて様々な花が一斉に咲き樹が芽吹きます。札幌はミュンヘンと緯度が同じですから、やはり春の盛りは5月です。植物は一年を通して、それが生育する場所の様々な環境要因の影響から逃れる事はできません。だから、植物は生育環境に適応してうまくやっているのです。特に四季のある地域の植物は季節の変化に応じて、種子の発芽、芽吹き、花芽形成、開花、落葉などの諸過程を進行させています。様々な環境の変化を外部の信号として受容し、生長発達の過程を制御していいるのです。季節的な変化に対応する植物の諸現象と気象・気候との関係を調べる研究分野はフェノロジー(phenology)といいます(登録番号1819参照)。サクラやウメの開花時期の調査もフェノロジーです。植物にとって花芽形成と開花は、繁殖のための重要な過程です。つまり、種子の生産につながるからです。だからそれぞれので植物は、それが最も効果的におこなわれるように遺伝的にプログラムされているのです。春に開花する樹木は大体前年の夏の終わりには既に花芽の形成が終わっています.ウメでは土用の終わり頃に完成します。それから休眠に入り、冬を経て春に気温が上昇すると芽の休眠が破れ、開花にいたるのです。このことに関するメカニズムについては登録番号1104,1429のサクラの例についての回答を読んで下さい。しかし、気温の上昇だけが開花をもたらすのではなく、フェノロジーによれば、積算温度が開花の時を決めるのです(1819参照)。ウメはサクラよりも休眠が浅いといわれていますので、普通はウメの方が先に咲くのでしょう。サクラやウメにはいろいろな品種があります。豊後梅は3月中旬〜下旬、白加賀梅は3月上旬〜下旬、江南所梅は3月中旬〜4月下旬に咲くということです。桜でも冬に咲く寒桜がありますし、突然変異や交配によって開花時期の異なる品種があります。札幌でのサクラはソメイヨシノだと思いますが、北海道ではソメイヨシノは西部までが北限で、それ以外ではタカネザクラ、エゾヤマザクラ、ミヤマザクラ、カスミザクラ、チシマザクラなどです。札幌でウメとサクラが同時に咲くのは、気温の上昇の具合が丁度合っているからかもしれません。植物によっては開花は日照など他の要因で影響される事もります。花芽形成、開花に関しては登録番号1552, 1170,1590 の回答等も参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見  允行
回答日:2011-04-11