一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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苔の葉の疑問

質問者:   小学生   さとう
登録番号2417   登録日:2011-04-11
宜しくお願いします
僕は苔が好きです。去年の秋から4種類の苔(セン類)を育てています。
図鑑に、苔の根は水を吸う力がなく、代わりに体の表面から水を吸収する、とありました。
なので、僕は毎朝、霧吹きで苔に水をあげています。
霧吹きをすると、苔の葉はすぐ開いて鮮やかな緑色になります。
僕はこれがとても不思議です。

1、苔の葉には、水を感じるセンサーみたいなものがあるんですか?また、これは顕微鏡で見えますか?僕は、苔の葉は閉じた状態でも霧吹きの水がわかるので、水を感じるセンサーは葉の裏にあるんじゃないかと思っていますが、どうでしょうか?

2、苔は、水を葉のどこから吸収するんですか?僕は、苔は湿気のある時は葉が開いているため、葉の表側から水を吸収するんじゃないかと思いますが、どうでしょうか?
さとう くん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
水を含んだコケ植物はとてもきれいですね。お寺の境内などにみられる、びっしりと敷き詰められたコケ植物も見事なものです。
さて、ご質問からとてもよくコケを観察されていることが分かります。コケ植物の作りはかなり簡単で、緑色の本体である茎葉体(あるいは葉状体)には気孔も維管束(セン類では茎の中央に水を通す維管束に似た部分があることもありますが)もありません。根のように見える仮根も水を吸収して他の茎葉部に供給する力はありません。水は茎葉体をつくる細胞が直接吸収しています。多くのコケ植物の葉のような部分はわずかな層(多くは一層)の細胞からできていますので個体としては外界との接触面積が広く、空気中の水分を効率よく吸収しています。細胞に水が十分にあるときには、細胞が膨らんでいます(細胞内の圧力-膨圧-が高い)ので茎葉体はその力でしっかりと張っていますが、細胞の水が不足すると空気の抜けた風船やタイヤのように萎れてしまいます。「湿気のある時は葉が開いている」のは、葉がピンと張っているためで、水が不足すると細胞の張りがなくなるので萎れ「閉じて」いるように見えるのです。細胞の張り具合によって、光の反射具合が変わるために「みずみずしく」見えたり見えなかったりするものです。室内では、夜の間に水分が失われたので朝には少しみずみずしさがなくなっていたのでしょう。コケ植物が自生している環境を思いだしてください。せっかく予想されたのですが、コケ類の葉に水のセンサーがあるとの研究報告はないようです。でも植物に「水のセンサーがあるかも」と考えられたのは間違っていません。実際、維管束植物の根は水分(湿度)の濃淡を感知して、より水分(湿度)の高い方向へ向かって成長するので水分センサーがあることが分かっています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-04-18
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