一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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タンニンと金属イオン反応の応用

質問者:   一般   呼吸発電
登録番号2421   登録日:2011-04-19
草木が持つ、タンニンが金属イオンと反応して不溶性の沈殿になるという話をウイキペディアで見ました。
この反応を応用して、雑草などをフィルターに成型し、水溶液中の金属イオンを吸収できないでしょうか。
雑草などを利用すれば、福島第一原発事故の放射能汚染水の処理に役立つ可能性があると考えました。
呼吸発電 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
タンニンはポリフェノールでいくつかの金属イオンと錯体を形成しますので、金属イオン溶液にタンニン類を添加すれば溶液中の遊離金属イオンが減少することは確かです。しかし、一般的に錯体は金属イオンを中心にして複数の配位子(今の例ではタンニン分子)が結合します。また、タンニンにはいろいろな種類があり複雑な化合物で金属イオンと形成する錯体の構造などはすべて分かっているわけではありません。1つの金属イオンに対して複数のタンニン分子が結合する上、植物の茎葉部が多量のタンニンを含むわけではありませんので、「金属イオンの除去」にはあまり能率のよいものとは考えられません。
土壌中の有害金属イオンや有害有機物を除くために植物の吸収力、分解力を利用する方法はファイトレメディエーション(Phytoremediation)といって注目されたくさんの研究が行われています。しかし、まだまだ解決しなければ問題(例えば、吸収蓄積効率の高い植物の発見や有害金属を蓄積した植物の処理の方法など)がたくさんありますので実用化の段階には至っていません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-04-20
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