一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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赤い葉の葉緑素

質問者:   一般   EMU
登録番号2422   登録日:2011-04-22
こんにちは。
新芽時に、植物の葉が一時的に赤くなることは、よく見受けられます。
強い光を避けるために、アントシアニンが加勢していると、何かの本で読みました。
新芽ではなくても、一部が赤いとか、葉裏が赤いとか、いろいろあります。
最近、ユキノシタ科のヒューケラという植物を買い、ガーデニングの彩にしたのですが、このヒューケラ、葉の表裏はもちろん、茎までも赤いのです。

こういう植物の葉緑素というのは、どうなっているのでしょう。光合成や根への栄養を送ったりすることはできるのでしょうか。
表裏とも毛がたくさんあります。

勉強不足の素人の質問ですが、よろしければ教えてください。
EMU さん

このコーナーに質問をお寄せくださりありがとうございます。
私はヒューケラという植物を意識して見たことがないので、ユキノシタを参考にして一般的に回答させていただきます。

多くの植物では、アントシアニンは表皮を構成する細胞の液胞に存在しています。これに対して、光合成を行う葉緑体のほとんどは、葉肉を構成する柵状組織や海綿状組織の細胞に存在しています(ただし、表皮細胞である気孔の孔辺細胞には葉緑体存在する)。このため、表層細胞のアントシアニンによって吸収された残りの光が葉緑体に到達することになります。ところで、大まかには、アントシアニンが吸収する波長と葉緑体(色素は葉緑素が中心)が吸収する波長はずれておりますので、表層が赤い植物でも内部組織の葉緑体は機能しており、到達する光の強さに応じて光合成を行っております。アントシアニンの存在は、養分を送る維管束の機能にも関係しないと思います。もしできれば、葉の断面を顕微鏡で見てみられるとよいと思います。

以上、簡単な説明になりましたが、更に詳しくお知りになりたい場合には、再度、質問をお寄せ下さい。本学会にはアントシアニンに詳しい方が大勢おられますので、もっと専門的に対応いたします。なお、この質問コーナーにはアントシアニンに関するQ/Aが幾つかありますのでご参考にしてください(例えば、登録番号1601、1905)。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2011-04-24
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