一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物に必要な水分量の測定

質問者:   大学生   このみ
登録番号2427   登録日:2011-04-29
こんにちは。
植物の栽培が好きな私ですが、水のやりすぎで枯らせてしまうこともしばしばあります。
そこで先日、植物に与える適度な水の量と遣り時が確実にわかる機器があればいいなあと考え、実際に作ってみようと思いました。
初めは土中の湿度を測定するセンサなどをつければいいものと考えていましたが、それだと植物によっての必要な水分量の違いに対応できないのでは?ということになりました。
植物が健康に育っていくために必要な水分量を科学的な数値として知るには、何を測定すればよいのでしょうか。
このみ様

みんなのひろばへのご質問有り難うございました。植物を健康に育てるための適度な水の量と遣り時を知らせる器機の作成は、とても面白いですが、かなり難しいように思います。まず、このみさんが水を遣り過ぎたために枯れてしまったような植物もあれば、イネのように水が冠っていても大丈夫な植物もあると云うように植物によって適当と考えられる水の量が違うと云うことがあります。さらに、同じ種類の植物でも、葉の数、葉の、面積で違いますし、植えてある場所の日当り具合、気温、風にも影響されます。次に、土です。粘土質の水もちの良い土もあれば、砂質の水はけの良い土もあります。水はけの良い土の場合と、水もちの良い土の場合では遣らなければならない水の量が違います。と云うように適当な水の量はさまざまな要因によって変わるので、その量を決めるのは簡単ではないのです。さて、ご質問は「必要な水の量を数値として知るには、何を測定すればよいか。」と云うものでしたので、その事について考えて見ます。まず、使っている土がどのくらいの水を含む事が出来るかを調べましょう。今使っている土と同じ土を用意し、よく乾かしてから植木鉢に入れ、重さを測ります。その後、鉢の底から水が漏れるほど十分に水を注ぎ、鉢の重さを量ります。鉢の底から水が漏れるので、(植木鉢)+(土)の重さは時間とともにどんどん減り続けます。しかし、ある程度時間が経つと、ほぼ一定になります。(この時の重さ)ー(水を注ぐ前の重さ)が、その土が含むことの出来る水の量です。粘土質の土の場合、含む事の出来る水の量は多く、砂質の土の場合、小さいです。次に、植物がどのくらいの量の水を土から吸い上げて、大気中に放出しているかを測定しましょう。(植木鉢)+(植物)+(土)の目方が24時間の間にどのくらい減るかを測るのです。植木鉢の中の土がどのくらいの量の水を含む事が出来るかと云うことと、一日にどのくらいの量の水が大気中に逃げて行くのかを知る事で、どのくらいの水を与えれば良いかの大凡の目安がつくのではないでしょうか。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2011-05-02
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