一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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シロツメクサの交配実験の方法

質問者:   高校生   YSG
登録番号2433   登録日:2011-05-10
私は、部活でシロツメクサについて昨年度から研究しています。
今年度は昨年の実験結果を見て
シロツメクサの交配実験をしようと考えています。
そこで、シロツメクサのめしべや、おしべが見あたらないので
どのようにして交配させていいのか
わからず、悩んでいます。

また、どのタイミングで交配するかも
教えていただければ幸いです。

よろしくお願いします。
YGSさま

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。めしべやおしべが見当たらないと云うことですが、多分、何か勘違いをしているのではないかと思い、まずシロツメクサの花について説明します。取って来た花をじっくりと眺めて下さい。YGSさんが1本の花と思っている花が、約70個の花の集まりであることが分かると思います。フジの花をご存知ですね。あのフジの花を軸方向にぎゅっと縮めて、全体を小さくし、先端を上方向にするとシロツメクサの花と同じような形の花になります(一つ一つ花の上下は逆になりますが)。フジの花は上の方の花が咲いても、下の方に花はまだ蕾です。シロツメクサの花でも満開のように見えても、上の方の花はまだ蕾です。下の方は枯れかかっていることもあります。1本の花と思っていたものが花の集まりだと云うことが分かったら、次に1個の花を取って観察しましょう。シロツメクサの花は小さいので、はじめからシロツメクサの花を見てもよく分からないと思います。マメの仲間のもっと大きな花を見るとか、花の絵を見て予習しましょう。花の全体の絵は植物図鑑(たとえば牧野日本植物図鑑)の後ろの方の用語解説のところに描かれています。エンドウの花とかソラマメの花は大きくて分かりやすいのですが、畑のから盗んできては申し訳ないので、カラスノエンドウにしましょう。花びらは5枚ですが、サクラなどのように5枚の花びらが同じではなくて、違った形をしています。花の上の部分にある大きな花びらは旗弁、その下の横側の2枚は翼弁、下の2枚は竜骨弁と呼ばれています。めしべもおしべも外からは見えません。翼弁と竜骨弁を取り除くと見えてきます。もし学校の図書館に「植物用語事典」(清水建美・八坂書房)があれば「花に関する用語」のところを見て下さい。マメ科のキハギやノアヅキの花のおしべとめしべの図がでています。さて予習が済んだら、シロツメクサの花の翼弁と竜骨弁を取り除いてみましょう。めしべとおしべが見える筈です。めしべもおしべも先端が少し上方向に曲がっています。先端に黄色い葯(花粉のはいっているもの)がついているのがおしべで、薄い緑色をしており先端をおしべの葯の上に出しているのがめしべです。児童向けの本ですが、「植物の生態図鑑」(学研・多田多恵子監修)のレンゲソウのページにとても分かりやすい図がでています。シロツメクサは自分の花粉では受粉せず、ミツバチによって運ばれた花粉で受粉するとされています。まずそれから確かめてみてはどうでしょう。咲くまえの蕾だけの時期に、ミツバチがこないように袋をかぶせ種子が出来るかどうか調べるのです。花が終わって時間が経ったもので、種子の観察もしておきましょう。袋をかぶせたもので種子が出来なければ交配実験は簡単です。花弁を取り除いて、葯を出し、それを用いて、やはり花弁を取り除いて出しためしべの先端につけるのです。受粉をするタイミングのことを質問していますが、1本に見える花の中には色々な時期の花が含まれていますので、いろいろな位置にある花を使えばそれは分かるのではないかと思います。ちいさな花ですので、作業は大変だと思いますが頑張って下さい。登録番号 2089 の質問とそれに対する回答が参考になると思いますので見て下さい。 
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2011-05-23
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