質問者:
教員
皆藤
登録番号2434
登録日:2011-05-11
日本カタクリには稀に白花となるものがあることはよく知られており、白花とは何かを知りたくてサーチしていたところ、こちらの質問コーナーの登録番号みんなのひろば
緑花カタクリについて
2322に詳しい説明を見つけまして、カタクリも同じメカニズムで生じるのであろうと納得させて頂きました。
そこで、白花より稀に咲くといわれている緑花カタクリとは何かを知りたくなりまして質問させて頂きました。自分なりにネットで色々探してみたところ、緑花カタクリには以下のような2つの共通点があることが分かりました。
①メシベだけでオシベがない。
②花びらが開くことは稀で、開いたとしても普通のカタクリのように完全には開かない。
これらの特徴から、カタクリの緑花は何らかの病気の症状のように感じます。
一方、アジサイやニリンソウではファイトプラズマが寄生した結果が緑花だとの解説をよく見かけます。やはり緑花カタクリも同様なメカニズムで発生するのでしょうか。そうだとすると他のカタクリや植物へ感染したり、あるいは逆に、治癒して普通の花が咲くようになるのでしょうか。
カタクリという特定の植物に限定した質問ですので答えにくい面もあるかと思いますが、お分かりになる範囲でお答え頂ければ幸いです。
そこで、白花より稀に咲くといわれている緑花カタクリとは何かを知りたくなりまして質問させて頂きました。自分なりにネットで色々探してみたところ、緑花カタクリには以下のような2つの共通点があることが分かりました。
①メシベだけでオシベがない。
②花びらが開くことは稀で、開いたとしても普通のカタクリのように完全には開かない。
これらの特徴から、カタクリの緑花は何らかの病気の症状のように感じます。
一方、アジサイやニリンソウではファイトプラズマが寄生した結果が緑花だとの解説をよく見かけます。やはり緑花カタクリも同様なメカニズムで発生するのでしょうか。そうだとすると他のカタクリや植物へ感染したり、あるいは逆に、治癒して普通の花が咲くようになるのでしょうか。
カタクリという特定の植物に限定した質問ですので答えにくい面もあるかと思いますが、お分かりになる範囲でお答え頂ければ幸いです。
皆藤 さん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
カタクリに特定した研究を見つけることができませんでしたが、記載されている状況から判断してファイトプラスズマによる葉化病(Phyllody)、花緑色変化(Virescence)と思われます。かなり多種の植物に感染しますし、ココヤシ、ギョウギシバなどの単子葉植物にも感染しますので、カタクリにも感染することは予想されます。ファイトプラスズマ属にはたくさんの種がありますがそれらの感染によって頻繁に現れる症状に、花の構成器官が葉になる症状(葉化病)がありますので、雄しべが葉になる(雄しべがない)症状はその1つと言えます。花は外側から、萼、花弁、雄しべ、雌しべと配列していますが、いずれも葉が変化したものです。葉が萼になるか、花弁になるかなどは、3つほどの型の違う遺伝子の組み合わせで決まるとされています。ファイトプラスズマに感染した植物では、これらの花器官の決定に関与する遺伝子の発現が弱まったために葉化してしまうと考えられます。しかし、ファイトプラスズマ感染植物が示す症状は多岐にわたっており、花を形成するが、花色素の合成を抑制するため緑色の花となる(Virescence)、頂芽があると成長が抑制されている腋芽の異常成長がはじまる(天狗巣病の原因の1つにもなっています)、異常に枝分かれして異常に小さな葉となる、葉が黄化するなどなど、たくさんの症状、病状の程度があり、一個体でも部分によって違った症状を示すことが知られています。カタクリの花の雄しべがなくなったり、緑色になったりするのは感染のためであり、きちんと開かないのも病気になっているため、と推定することができます。
ファイトプラスズマはヨコバイ、アブラムシのような篩管液を吸う昆虫を媒体としていますので他の植物にも感染します。そのため防除には媒体昆虫を殺すことですが、感染植物を治癒させることはきわめて困難とされています。ブドウなどの作物では頂点培養などで無菌植物を作成し、その後の感染を防ぐことで防除する例もあります。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
カタクリに特定した研究を見つけることができませんでしたが、記載されている状況から判断してファイトプラスズマによる葉化病(Phyllody)、花緑色変化(Virescence)と思われます。かなり多種の植物に感染しますし、ココヤシ、ギョウギシバなどの単子葉植物にも感染しますので、カタクリにも感染することは予想されます。ファイトプラスズマ属にはたくさんの種がありますがそれらの感染によって頻繁に現れる症状に、花の構成器官が葉になる症状(葉化病)がありますので、雄しべが葉になる(雄しべがない)症状はその1つと言えます。花は外側から、萼、花弁、雄しべ、雌しべと配列していますが、いずれも葉が変化したものです。葉が萼になるか、花弁になるかなどは、3つほどの型の違う遺伝子の組み合わせで決まるとされています。ファイトプラスズマに感染した植物では、これらの花器官の決定に関与する遺伝子の発現が弱まったために葉化してしまうと考えられます。しかし、ファイトプラスズマ感染植物が示す症状は多岐にわたっており、花を形成するが、花色素の合成を抑制するため緑色の花となる(Virescence)、頂芽があると成長が抑制されている腋芽の異常成長がはじまる(天狗巣病の原因の1つにもなっています)、異常に枝分かれして異常に小さな葉となる、葉が黄化するなどなど、たくさんの症状、病状の程度があり、一個体でも部分によって違った症状を示すことが知られています。カタクリの花の雄しべがなくなったり、緑色になったりするのは感染のためであり、きちんと開かないのも病気になっているため、と推定することができます。
ファイトプラスズマはヨコバイ、アブラムシのような篩管液を吸う昆虫を媒体としていますので他の植物にも感染します。そのため防除には媒体昆虫を殺すことですが、感染植物を治癒させることはきわめて困難とされています。ブドウなどの作物では頂点培養などで無菌植物を作成し、その後の感染を防ぐことで防除する例もあります。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-05-23
今関 英雅
回答日:2011-05-23