一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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真冬、茎に霜柱のできる植物について

質問者:   一般   カズコ
登録番号2438   登録日:2011-05-17
北海道、冬、枯れて崩れたマメ科シロツメクサの茎の割れ目から、
くるりと覆うように霜柱が出ていました。
土から茎の根元が出ていたので、気が付きました。
シソ科の植物、シモバシラの他に、どのような植物から霜柱が
出てくるのでしょうか。シロツメクサからも可能性はありますでしょうか。
カズコ様

このコーナーに質問をお寄せ下さり有り難うございました。
ご質問には北海道の現場に詳しい北海道大学の荒川先生に回答文をお願いしました。ご参考になさって下さい(荒川先生にはお送り頂いた写真を見て頂きました)。



(荒川先生からの回答)
正直にいってシモバシラ(Keiskea japonica)という植物(別名 雪寄草)を私は初めて知りました。そこで、本件についていくつか調べたところ、とても面白い形状のシモバシラを撮った写真がインターネット上でもいくつも見つかりました。典型的なものとして以下のURLをご覧いただければ解説つきで分かりやすいです。
http://web.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi5/mm5-1.htm

さて、送っていただいた写真ですが、シモバシラによる霜柱(氷のオブジェ)と、シロツメクサのケースとではやや状況が異なる感じがしました。(いただいたコメントではシロツメクサの茎の割れ目からできた霜によって茎全体が覆われたように記されていましたが)写真からは、近くの葉と同じように、単純に茎全体が霜氷に覆われたようにも見受けられましたので、どちらとも判断つきかねます。シモバシラで見られる氷のオブジェは、維管束の水が凍って茎の裂け目から出てきている現象のようですから、その年々の気象条件はもとより、枯れかけている地上部の維管束中に十分に水が存在している(供給されている)ことが氷のオブジェができるための前提条件となります。越冬するための地下組織による根圧で(枯れかけた)地上部まで運ばれた水が、氷点下の寒い外気にさらされて凍ってできるものと思われます。運良くいくつもの条件さえ揃えば、シモバシラで見られる氷のオブジェがシロツメクサでも見ることができるのかも知れません。しかし、シモバシラの作り出す様々な面白い形状の氷のオブジェを見ていると、分布する地域の生育環境や気象条件、地下組織からの水の供給、というだけでなく、あのような形状の氷を作り出してしまう茎の裂け目をつくる構造的な特徴も必要なのかな、と想像しています。だからこそ、シモバシラや一部のシソ科植物でのみ氷のオブジェが見られるのかも知れません。

以上、回答というにはいささか心許ないコメントになっておりますが、分かる範囲内での回答ということで、何卒ご容赦下さい。

荒川 圭太(北海道大学大学院農学研究院・樹木生物学研究室)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2011-06-03
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