一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ツタンカーメンのえんどうの色の変化について

質問者:   一般   ウメ
登録番号2443   登録日:2011-05-23
ツタンカーメンのえんどうを入れて豆ご飯を炊くと、
最初は普通のグリンピースご飯のような色をしています。
ところが保温して8時間も経つと、お赤飯のような色が付いています。

しかし、ツタンカーメンのえんどうを茹でると、
茹で汁にはすぐに色が出ます。
どうして、お米と一緒に炊くと発色が遅れるのでしょうか?
また、炊いたご飯も保温しなければ、色の変化はありません。
温度が発色に関係しているとするならば、
炊飯中に、炊飯ジャーの保温温度と同じ温度にはなるはずです。

米に含まれる糠の成分が発色を遅らせているのでしょうか?
ツタンカーメンのえんどうの色に関しては
疑問が深まるばかりです。
ご解説をお願い致します。
ウメ様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。ツタンカーメンのエンドウはいろいろ話題になることが多いですね。私もかって育てて、紫の莢はゆでてサラダで食したことがありますが、豆は食べる程とれなかったので、エンドウご飯も作りませんでした。したがって、そのような色が着くことは知りませんでした。インターネトで調べてみると、多くの人が不思議がっておらるようですね。英語圏のネットも調べましたが、外国ではこの豆をグリーンピースのように食した人はすくないようで、着色する現象に触れた記載は見つかりませんでした。ご質問について私自身は科学的説明はできませんが、三重大学教育学部の磯部由香先生がこの現象をたまたま研究されたことが分かりましたので、回答をお願いしました。


「回答」
なぜ、茹で汁だと色が出て飯と一緒に炊いた場合はすぐに色が出ないのかについての原因については、私にもわかりません。
ただ、茹で汁も、更に加熱を続けると赤色が濃くなっていくという現象が見られます。おそらく、もともとほぼ無色の物質(ポリフェノール)が熱によって重合することにより、赤色が濃くなるものと思われます。茹でる操作の場合、その物質が抽出されやすく炊飯の操作の場合は、豆に対する水の量や共存する物質のためにその物質が抽出されにくいのだと思います。
なお、その元の物質や重合した(と考えられる)物質を分離して同定しようと試みましたが、うまくいきませんでした。 

磯部 由香(三重大学教育学部)

なお、植物にみられる赤ー紫の色は多くの場合アントシアニン色素によるものですが、これもポリフェノールの一種です。紅茶や赤ブドウ酒の色もポリフェノールです。ポリフェノールには様々な形があり複雑ですし、その働きも様々です。質問コーナーにもポリフェノールに関連する項目が沢山ありますので検索してみて下さい。             
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2011-05-25
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