一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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トマトの味

質問者:   小学生   うーたん
登録番号2450   登録日:2011-05-28
私はトマトがあまり好きではないので、自分で育てたトマトならば好きになれるかな、と思って育ててみることにしました。
トマトの本に、収穫するときは朝のうちにしたほうが美味しい、と書いてありました。でも理由は書いてありませんでした。なぜ、朝のほうがよいのでしょうか?
実のなる植物はみんなそうなのですか?
うーたん さん

 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
 うーたんさんのご質問は、私たちのコーナーでは苦手なご質問ですので、植物生理学的に考えられることをお話しすることにします。おそらく料理専門家や「野菜ソムリエ」の方に伺った方が、適正な回答が得られるかもしれませんので、そちらでも伺ってみてください。

 食べ物が「美味しい」とか「美味しくない」というのは「どうしてか」を説明することはとても難しいことなのです。「好き」か「嫌い」となるともっと難しくなります。日本人には「うま味」という感覚あり「うま味成分」が科学的によく研究されています。グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸などが「うま味成分」とされていますが、その他に、いくつかのアミノ酸、有機酸、未知成分などが加わると、もっと「うま味」が増し、多くの人が「美味しい」と感ずるようになります。でも、ある食べ物を「好きな人」は美味しく感ずるし、「嫌いな人」は美味しく感じないということもありますよね。

 「朝採りの野菜は美味しい」と言われますね。トマトもそう言われているようです。どうしてだろうかと考えてみました。野菜とか液果(漿果しょうか-水分の多い果物-トマト、スイカ、ミカンなどはその仲間です)は、しなびたものよりパリッとしているもの(水分が多い)の方が「新鮮」と感じ、またそれが美味しいと言われますね。植物は、夜の間も水を吸い続けますが、水の蒸散(葉から水を蒸発させること)は少ないので、全体に水が張っている状態です。朝がその状態ですね。太陽が昇って気温が上がってくると、葉からの蒸散が多くなり、どうしても水分が少なくなり、多少しおれ気味になります。また、収穫してしまうと水の供給がなくなりますから、輸送などの関係で時間が経ったものも萎れ気味になってしまいます。朝採りのトマトとは朝収穫して直ぐの意味がつよく、収穫してしばらくおいたトマトよりも水の張り具合が違うので「美味しく」感ずるのではないでしょうか。うーたん さん、トマトを好きになってください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-05-31