一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物内部の微生物汚染について

質問者:   一般   無糖
登録番号2452   登録日:2011-05-30
以前の質問の中で、同タイトルの質問にて下記のようなログを拝見しました。
http://www.jspp.org/cgi-bin/17hiroba/question_search.cgi?stage=temp_search_ques_detail&an_id=319

近年、サルモネラ菌によるナッツ等の種実汚染が外国等で話題であるところですが、
日本でもカイワレ大根の時に少し話題となりましたが、つい先日も、病原性大腸菌がキュウリから検出されたニュースがドイツでありました。

上記の回答ログでは、「植物細胞の内部には細菌はいない」とのことですが、
細胞内でなければ、微生物的に汚染されている可能性はあるでしょうか?

例えば維管束などの組織内のどこか、もしくは、外傷由来で組織内の間隙等で、汚染、発育等、植物体自体が汚染されている可能性はあるのでしょうか?

同じような質問となってしまい大変申し訳ありません。
以上、よろしくお願いいたします。
無糖 さま

みんなのひろばをご利用頂きありがとうございます。多くの植物において、植物の根の細胞間に共生菌類が生息しています。動物細胞内に寄生する細菌としてはマイコプラズマやクラミジアが有名です。動物において、細胞内でも細胞外でも増える最近としては、結核菌やサルモネラ菌などがあります。植物でも、細胞内および篩管内寄生菌としてマイコプラズマ様の細菌があり、農作物に大きな被害を与えているようです
http://papilio.ab.a.u-tokyo.ac.jp/planpath/phyto.html)。


ただし、これらがヒトに害があるという話は聞いた事がありません。つまり、植物の細胞内にも細胞間にも微生物は生息しています。#1128の回答では、植物の殺菌という観点でしたので、問題にならないこれらの微生物には触れられていませんでした。ご質問の文中で微生物「汚染」という言葉を使われていますが、ヒトに対して害を及ぼす微生物を念頭に置かれているのでしょうか?その場合は衛生学の専門家に聞かれた方が正確な答えが得られると思います。私の専門外ではありますが、web検索により、日本語で書かれた研究報告論文を見つけました(http://niah.naro.affrc.go.jp/project/coli/coli_2.pdf)。種々の野菜の胚軸または子葉に傷をつけて大腸菌を接種するとある程度組織内で菌が増殖するものの、病原性大腸菌に汚染された野菜の種子を播種してキャベツやレタスを育てても可食部の組織内からは病原性大腸菌は検出されなかったと書かれています。

植物にとっての微生物、という観点からさらに詳しく知りたい場合には、改めてご質問下さい。
日本植物生理学会広報委員長/大阪大学理学研究科
柿本辰男
回答日:2011-05-31
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