一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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水耕栽培のトマト・2

質問者:   小学生   うーたん
登録番号2475   登録日:2011-07-03
おじいちゃんから、プランターで土栽培しているトマトは、水をあげすぎると樹が枯れてしまうから、土の状態を見ながら水やりをするように言われました。でも水耕栽培のトマトはいつも水(液肥)につかっています。天気が良かったり、暑い日は、水耕栽培のトマトの液肥の減りがとても早いです。減った分どんどん液肥を足していっても根がくさらないのはどうしてですか?
うーたん さん:

トマトの水耕栽培は難しいものですが、おじいちゃんからとても好いアドバイスを受けていますのでうまくいくでしょう。きっと、おじいちゃんの方が私どもよりも実際の栽培の仕方をよくご存じでしょう。
今度のご質問も、土耕栽培と水耕栽培の違いをしっかりと区別しないといけない点ですね。まず、土耕栽培から考えてみましょう。まず、土耕栽培では根の全体が土の中に埋まっているのが普通ですね。土耕栽培で水を「やりすぎる」とはどの程度か、表現するのはとても難しいのですが、ふつうは土の表面がいつもじめじめ濡れている状態と見て良いでしょう。このような状態の土の中は、トマトの根と土壌粒子との間にも水が詰まっていて、根への酸素の供給が不足気味になります。トマトは酸素を沢山ほしがる作物ですのでこの状態が続くと具合が悪いのです。いつも根と土壌粒子との間に空気があるようにしておく必要があります。
さて、水耕栽培ですが、うーたんさんは水耕栽培液に空気を通していますか?水耕栽培では、栽培液に通気(水槽で魚を飼育するときブクブク細かい空気を送るのと同じ)するか、栽培液を循環させて空気との接触を確保しているかのどちらかの方法を使います。いつも、培養液に十分の酸素を与えつづけることが必要なのです。うーたんさんは通気していないかもしれませんね。でも枯れない。それは、根の全体が培養液に浸っていないで、根の上の部分が空気に触れているからだと思います。トマト苗を支えるものと栽培液の液面との間に十分の隙間があると思います。この隙間をなくすように根全体を栽培液に浸けてしまったらトマトは数日で萎れてきて、やがて枯れてしまうはずです。
トマトは水をたくさん吸いますね。蒸発を含めて減った分を毎日、同じ液肥で補給すると肥料の濃度がだんだん濃くなっていきます。毎日のときは水かふだんよりも10倍くらい薄めた液肥で補給し、2週間に一度程度、ふだんの液肥を補給すれば問題はおこらないと思います。それから、大事なことは、水耕液の量とトマトの株数との関係です。ふつうの中玉、大玉トマトだったら、1株あたり最低20〜25リットルくらいの培養液は欲しいところです。うーたんさんの場合はどんな具合ですか。少ない培養液に沢山のトマトを植えると、生育するとき吸収する肥料分の割合が大きくなって、培養液の全体の濃度や組成が大きく変わってしまい、生育に悪い影響が出てきます。本格的な水耕栽培では培養液の濃度、組成を監視していて、濃度を調整し、不足分を補っています。
しっかり管理して、たくさんトマトを収穫してください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-07-13
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