一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

でんぷんが葉から根へ運ばれる時の駆動力は何ですか

質問者:   一般   がんさん
登録番号2483   登録日:2011-07-26
根から導管を通して葉へ水を運ばれる時の駆動力が,浸透圧と水の凝集力であることは学びました。
しかし,光合成でつくられたデンプンはどのような仕組み(駆動力)で篩管を通って根の方へ運ばれるのでしょうか?
浸透圧とは思えません(逆のように思えます)し,重力で運ばれているとも思えません。どんな力が働いて葉から実や幹(茎)や根にデンプンが運ばれるのでしょうか?
がんさん様

みんなのひろばへのご質問ありがとうございます。歓迎致します。光合成により作られた有機物は、ブドウ糖やショ糖(スクロース)、デンプンなどの糖類となります。糖類は、主にショ糖となり、作られた組織から、光合成をしない組織に運ばれます。デンプンは水に溶けませんので、ブドウ糖に分解された後、主にショ糖に変換されて運ばれます。糖類を送り出す組織をソース、取り込む組織をシンクと呼びます。根や種子、未成熟の葉などはシンクです。運ぶ管は、師管です。師管は、特殊な細胞同士が一列につながって出来ており、細胞同士は小さな穴でつながっています。師管のまわりには伴細胞と呼ばれる細胞があり、これも小さな穴を通じて師管につながっています。

登録番号0277で山口淳二先生が回答されているように、師管を通した輸送の駆動力は、次の様にして生み出されます。ソース組織では、エネルギーを使った師管へのショ糖の積込みにより師管内の浸透圧が高くなり、浸透圧差により水も取り込まれます。シンク組織ではショ糖が利用されることにより師管の中の浸透圧が低くなります。この二つにより、師管の中にソースからシンクへの水溶液の流れができるのです。その流れに乗り、糖類だけではなく、様々な物質が運ばれます。従って、主な駆動力は、主にショ糖を運ぶ分子ポンプということになります。分子ポンプが何のエネルギーを使っているかは登録番号0277の回答に書かれています。ぜひ、登録番号0277も読んで下さい。
JSPP広報委員長、大阪大学
柿本 辰男
回答日:2012-08-25
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内