一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ユリノキの葉の中央凹部の尖り

質問者:   一般   まめだ
登録番号2486   登録日:2011-07-29
 ユリノキの葉は、半纏形で先端が凹んでいます。ただし、中央葉脈の先だけが0.数mmほど尖っています。
 この尖りを何と呼ぶのでしょう。何故、このような尖りができるのでしょう。この尖りが例の少ない中央の凹みを作るのでしょうか。
 尖りを写したJPEGファイルもありますが、送る方法が不明です。
まめだ様

質問コーナーへようこそ.歓迎いたします。良く細かい所まで観察されていますね。 葉身の形は実に様々なものがありますが、基本的構造は同じです。葉身の各部分にはそれぞれ名称がついていますが、どんな形であれ、葉の先端部は「葉先」「葉頂」あるいは「葉端」と呼んでいます。いろいろな植物の葉をご覧になればお分かりでしょうが、先端が尖ったもの、丸いもの、平らなものなど、凹んだもの、それに、これらに様々なバリエーションが見られます。葉先に形態については、植物学では8〜10の専門的な名前がついて分類されています。ユリノキの葉先は図鑑によって切型、あるいは凹型などと記載されていますが、微凹型(英語ではretuseといいます)といったら良いかと思います。さて、葉先にわずか出ている尖りですが、これはユリノキだけに見られる特別なものではありません。他の形状の葉でもこのような例は沢山あります。たとえば、クリ、ムクノキ、ミズキ、アベマキ、ナワシロイチゴ、ボケ等等、葉先だけでなく葉縁でもっと多く見られます。アメリカヒイラギは極端な例でしょう。葉先にしろ葉縁にしろ、このような尖りは葉脈の端に当たります。葉先の中央のは主脈の先端になります。ヤハズアジサイの葉先は名前のように矢筈形をしていますので、一般的には凹型です。しかし、この先端は尖りがりません。それは主脈が先端の手前で左右に別れて、その先が左右の掌状葉の先端に伸びているからです。葉の先端部の微凹ができるのは尖りが出来るからではありません。ユリノキは葉頂の先端がたまたま凹んでいるため、尖りが目立つのかもしれませんが、これを引っ張ってのばしてみれば他の葉と同じです。葉先がどんな形をとるのかは種によって、基本的には遺伝的に決まっていることです。葉の形態が作られる仕組みは複雑ですが、登録番号1995、1900などの質問と回答を参照して下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2011-08-10
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