一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ヒョウタンの巻きひげについて

質問者:   教員   ホリサン
登録番号2490   登録日:2011-08-03
生徒達にヒョウタンを見せてやろうと、数年前に種子から育て数個の実を得ることができました。その時、巻きひげの形態が他のつる性植物とは異なることに疑問を持ちました。通常ウリ科の植物は2〜3cmの小さなばねのような巻きひげを作って、絡みつくものが多いと思いますが、ヒョウタンはこのばね状の構造を一度反転させ、もう一つのばね状巻きひげをつくって絡み付いています。これはとても強い構造になっていますから、あの重い果実を支えるために独自に進化(変異)したものでしょうか?ちなみにヒョウタンより重い果実を実らせるスイカやカボチャは地を這うように育ちますから支える必要は無いのかもしれません。冬瓜や夕顔は育てたことが無いので、見たことがありません。何かほかに理由があるのか、教えていただければとメールしました。
 また、ヒョウタンの巻きひげ構造の強度が本当に強いのであれば、植物以外の構造物に応用できそうですから、実験してみたいと思っています。
ホリサン様

みんなのひろば質問コーナーへのご質問、ありがとうございます。ウリ科の巻きひげは、まずまっすぐに伸びて何かに触れるとその部分を対象物に巻き付けます。次に巻きひげそのものををスプリングのようにすることによって全長を短くし、ぐぐっと引き寄せます。スプリングのように巻きを作る際には、巻きひげの端がすでに対象物に固定されていますので、一方向だけのスプリングを作る事は不可能であり、途中で巻の方向が反転しています。これはヒョウタンに限られず、ウリ科のゴーヤやキュウリでもそのようになっています(私も育てています)。植物がどのような仕組みでこの巻きの成長を制御しているのかはよくわかっていません。巻き髭がどのように進化してきたかと言いますと、エンドウでは葉が変化したもの、ブドウでは枝が変化したものですが、ウリ科の場合ははっきりしておらず、その複合との解釈があるようです。
JSP広報委員長、大阪大学
柿本 辰男
回答日:2011-08-10
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