一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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有性生殖の有効性

質問者:   教員   レイコ
登録番号2493   登録日:2011-08-04
1885の質問の答えに有性生殖は環境の変化に対応することに対して優位であるのは間違いであるとのお答えがありました。なるほどと 読ませていただきました。そこで有性生殖の有効性をどうとらえたらいいのかおききします。よろしくお願いします。
 有性生殖は生物の多様性を生み、また遺伝子が交換を繰り返され多様であることは、そのときに発現されるような変化を伴わず、ただ蓄積されているだけでも、いつかおこるであろう地球環境の変化に対応するのに有効なものもあるかもしれないのではと思っていたのですが、このように有性生殖のメリットを理解するのは間違っていますか?
 有性生殖は今はすたれないで多くの生物に利用されており、遺伝子の多様性を意識的に保つような性質の獲得もなされているようですが、本当はあまりメリットはないのでしょうか。
レイコ様

とても遅くなって申し訳ありません。こりずにご利用下さいますようお願いします。
有性生殖のメリットという大きな問題には専門家の間でもまだ統一された答えが得られていません。有性生殖では無性生殖にくらべて2倍以上のコストがかかるにも関わらず、ほぼ全ての生物が有性生殖を行っているわけですので、長い目で見れば有利であるに違いありません。ここで、レイコ様の考えておられる、「そのときに発現されるような変化を伴わず、ただ蓄積されているだけでも、いつかおこるであろう地球環境の変化に対応するのに有効なものもあるかもしれないのでは」というのは、地球環境というところを病原体や他の生物と広く捉えますと、正しいと思います。塚谷先生の回答にあるように、広く考えられている有性生殖のメリットは、様々に姿を変える病原体への対応です。動物の病原体も植物の病原体も、どんどん遺伝子を変化させていますので、有性生殖をなくしてしまった宿主があったとしても絶滅する可能性が高いということになります。また、レイコ様の書かれている、「遺伝子の多様性を意識的に保つような性質の獲得」の意味がよくわかりませんが、「有性生殖に本当はあまり意味がないのでしょうか」という問いに対しては、ほぼ全ての生物が有性生殖の仕組みを維持しているという結果から、これには意味があるということになります。
JSPP広報委員長、大阪大学
柿本 辰男
回答日:2011-09-01
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