質問者:
一般
サクラン坊
登録番号2504
登録日:2011-08-17
質問は2回目です。前回は有難うございました。蕎麦がすぐ食べないとまずくなるのは、蕎麦の生育が早いのと関係ありますか
もうすぐ80歳、日々の疑問を追いかけています。
今回はそばについての質問です。
①蕎麦はすぐのびてしまって美味しくなくなります。こねて蕎麦切りにする
のも手早く、茹でてから食べるのも素早くがいいと本に書いてありました。
分単位でのことのようです。
うどんの場合(小麦粉)はよくて(分単位の話はない)蕎麦(そば粉)の
場合だけ、なぜなのでしょうか。
②そばは短期間で実がとれます。この生育の早さはなぜなのでしょうか。
③生育が早いのとそばが水分によりすぐまずくなるのと関連があるの
ではないかとおもいましたが、どうなのでしょうか。
サクラン坊さま
蕎麦がすぐ食べないとまずくなることについてのご質問ありがとうございました。お答えするのに時間がかかってしまい申し訳ございませんでした。こういう事は習った事もないし、私達の読む教科書のどれにも書いてないので、暫く途方に暮れていたのが遅れてしまった理由です。仕方がないので、蕎麦打ちの指導書を読んでみましたら、いくつかのヒントが得られましたので、それをもとに回答を書いてみます。
まず、蕎麦粉には10%以上もの蛋白質が含まれており、その蛋白質が蕎麦の味や蕎麦生地の粘りを出すのに大切な役割を果たしているということを勉強しました。「蕎麦は痩せた土地で作られた方が旨い」と云うのは単なる俗説で、栄養状態の良い土地と悪い土地で育てた蕎麦を較べたところ、良い栄養状態の土地で作られた蕎麦のほうが蛋白質も豊富で、打ちやすく、つながりやすく、味も良かったという実験結果も紹介されており、蛋白質の重要性について納得させられました。蕎麦粉の保存についての記事も良いヒントを与えてくれました。蕎麦粉は挽いたらなるべくすぐに使うように、保存する時には、脱酸素剤入りの真空パックにし、冷蔵庫に入れる事が必要である事が書かれており、蕎麦の蛋白質は空気(酸素)に触れると変性してしまうことが分かりました。また蕎麦の蛋白質は水溶性である事も書かれていました。このようなヒントから、蕎麦がすぐ食べないとまずくなるのは、蕎麦の旨味と「こし」の強さを担っている蛋白質が空気に触れて変性するからではないかと考えました。水分によりまずくなるのは、この蛋白質が水に解けて、より一層不安定になるからだと思います。うどんですが、うどんでも小麦粉の蛋白質が重要な役目を果たしています。うどんは小麦粉を練って作りますが、小麦粉の蛋白質は水に不溶性で、練っている間にグルテンと云う生地に粘りを与える物質をつくります。グルテンは安定な物質なので、グルテンに守られているうどんは時間が経っても大丈夫なのです。
さて、ソバの生育の早さです。普通、秋に蒔くそうですが、約80日間で1メートルほどに育ち、実を稔らせます。茎の伸長が早いのは、一つには、花も実も小さくて軽いので、茎を太くする必要がなく、草丈を伸ばす事に専念できるからかと思います。また、植物は高密度で育てると草丈が長くなりますので、この事も効いていると思います。いずれにしても、草丈の増加は植物ホルモンによって制御されており、植物ホルモンのなかでも、ジベレリンが重要な役割を果たしています。生長の早さを草丈の増加の早さとすれば、ジベレリン量と、蕎麦がすぐまずくなることとの関係と云うことになりますが、関係あるようには思えません。次に生育期間が短い事について考えましょう。植物の中には日長(日の長さ)が長くなりと花芽を着ける植物(長日植物)と日長が短くなると花芽を着ける植物(短日植物)とがありますが、ソバは日長に関係なく一定の発育段階(葉数)に達すると花芽を付ける植物で、中性植物と呼ばれています。ソバで生育期間が短いということは、この一定の発育段階に達するのが早いということです。ヒマワリも中性植物です。葉は茎の先端(茎頂)で作られますが、この茎頂の直径がある程度より大きくなると花を作るとされています。一定の発育段階とは、茎頂の状態を指すのだと思います。と云うことで、茎頂の状態と蕎麦がまずくなる事との間に関係があるかどうかということになります。ソバについてまだまだ分かっていない事が沢山あるので、関係ありませんとは言い切れませんが、今までに分かっている範囲で考えるなら、関係があるようには思えません。以上が、そば打ちの指導書から得たヒントをもとに考えた結果です。
蕎麦がすぐ食べないとまずくなることについてのご質問ありがとうございました。お答えするのに時間がかかってしまい申し訳ございませんでした。こういう事は習った事もないし、私達の読む教科書のどれにも書いてないので、暫く途方に暮れていたのが遅れてしまった理由です。仕方がないので、蕎麦打ちの指導書を読んでみましたら、いくつかのヒントが得られましたので、それをもとに回答を書いてみます。
まず、蕎麦粉には10%以上もの蛋白質が含まれており、その蛋白質が蕎麦の味や蕎麦生地の粘りを出すのに大切な役割を果たしているということを勉強しました。「蕎麦は痩せた土地で作られた方が旨い」と云うのは単なる俗説で、栄養状態の良い土地と悪い土地で育てた蕎麦を較べたところ、良い栄養状態の土地で作られた蕎麦のほうが蛋白質も豊富で、打ちやすく、つながりやすく、味も良かったという実験結果も紹介されており、蛋白質の重要性について納得させられました。蕎麦粉の保存についての記事も良いヒントを与えてくれました。蕎麦粉は挽いたらなるべくすぐに使うように、保存する時には、脱酸素剤入りの真空パックにし、冷蔵庫に入れる事が必要である事が書かれており、蕎麦の蛋白質は空気(酸素)に触れると変性してしまうことが分かりました。また蕎麦の蛋白質は水溶性である事も書かれていました。このようなヒントから、蕎麦がすぐ食べないとまずくなるのは、蕎麦の旨味と「こし」の強さを担っている蛋白質が空気に触れて変性するからではないかと考えました。水分によりまずくなるのは、この蛋白質が水に解けて、より一層不安定になるからだと思います。うどんですが、うどんでも小麦粉の蛋白質が重要な役目を果たしています。うどんは小麦粉を練って作りますが、小麦粉の蛋白質は水に不溶性で、練っている間にグルテンと云う生地に粘りを与える物質をつくります。グルテンは安定な物質なので、グルテンに守られているうどんは時間が経っても大丈夫なのです。
さて、ソバの生育の早さです。普通、秋に蒔くそうですが、約80日間で1メートルほどに育ち、実を稔らせます。茎の伸長が早いのは、一つには、花も実も小さくて軽いので、茎を太くする必要がなく、草丈を伸ばす事に専念できるからかと思います。また、植物は高密度で育てると草丈が長くなりますので、この事も効いていると思います。いずれにしても、草丈の増加は植物ホルモンによって制御されており、植物ホルモンのなかでも、ジベレリンが重要な役割を果たしています。生長の早さを草丈の増加の早さとすれば、ジベレリン量と、蕎麦がすぐまずくなることとの関係と云うことになりますが、関係あるようには思えません。次に生育期間が短い事について考えましょう。植物の中には日長(日の長さ)が長くなりと花芽を着ける植物(長日植物)と日長が短くなると花芽を着ける植物(短日植物)とがありますが、ソバは日長に関係なく一定の発育段階(葉数)に達すると花芽を付ける植物で、中性植物と呼ばれています。ソバで生育期間が短いということは、この一定の発育段階に達するのが早いということです。ヒマワリも中性植物です。葉は茎の先端(茎頂)で作られますが、この茎頂の直径がある程度より大きくなると花を作るとされています。一定の発育段階とは、茎頂の状態を指すのだと思います。と云うことで、茎頂の状態と蕎麦がまずくなる事との間に関係があるかどうかということになります。ソバについてまだまだ分かっていない事が沢山あるので、関係ありませんとは言い切れませんが、今までに分かっている範囲で考えるなら、関係があるようには思えません。以上が、そば打ちの指導書から得たヒントをもとに考えた結果です。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2011-09-05
柴岡 弘郎
回答日:2011-09-05