一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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酢がダメな理由

質問者:   小学生   ちいた
登録番号2505   登録日:2011-08-17
植物が水を吸う仕組みを自由研究にして四年目です。
浸透圧や凝集力のことをいつもわかりやすく教えていただきありがとうございます。
三回目の質問になります。よろしくお願いします。
今年は、水以外のものを鉢植え、切り花、切り野菜、発芽 で調べています。
主に 醤油、砂糖またはシロップ、酢を使っています。
これから濃さの違うもので実験しようと思っていますが、
その前に、発芽でも鉢植えでも切り野菜でも すぐに枯れてしまった酢について
質問です。酢はどれもすぐに枯れてしまったのですが、なぜですか。
塩は塩害というのはわかりましたが、酢についてはこちらを調べてもよくわかりませんでした。
酢は濃さを違えた実験をしても全部かれるのかなと思っていますが、
理由がわかれば、どのように濃さを変えるとかすごく薄い酢の実験なら
違いがわかるかとかのさんこうにしたいので教えてください。
よろしくお願いします。

それから、切り花を長持ちさせる方法として、
切り口の殺菌
水が汚れない
の二つが大事だと 調べて思いましたが正しいですか?
他に切り花の実験で大事なことはありますか。
切り花の実験が思ったような結果になりません。
三度目の実験の前に、間違っていることがあれば知りたいです。
醤油も酢もシロップもすぐに枯れないで三日間もちますが、
どれも三日目くらいに突然枯れてしまいます。
使っているのは小菊です。
ちいたさん

浸透圧や凝集力の話はとても難しいですが、良く読んでくれましたね。返事が遅くなり、申し訳ありません。酸性やアルカリ性という性質はもう習いましたか?酸性のものでも、強い酸性のものと、弱いものがあります。とても酸性の強い物質としては、塩酸や硫酸があります。塩酸や硫酸はとても酸性が強いので大変危険です。酸性の逆はアルカリ性ですが、やはりとてもアルカリ性が強いものとしては、水酸化ナトリウムなどがありますが、これも大変危険です。ところが、塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜると、中和されて、中性になり、この場合は食塩になります。酸性の度合いが塩酸ほど強くないものに酢があります。それほど強いわけではありませんが、それでも歯を長く浸けておくと溶かしてしまうくらいの酸性です。ある程度の酸性ですと植物も耐えられますが、濃いお酢の酸性度には植物も耐えられないのだと思います。逆に結構アルカリ性の強いものに消石灰があります。酸性が強い土を中和するのに使われます。アルカリ性が強くなり過ぎても植物は死んでしまいます。消石灰はホームセンターに打っています。消石灰は入れすぎると中和を超えてアルカリ性になるので、それも良くないですね。酢を中和してみることも試しても良いかもしれません。ただ、消石灰は目に入らないよう気をつけて下さい。
切花の水が腐ると良くないと思います。切り口を殺菌にも効果があることがあります。また、水の中に雑菌の繁殖を抑えるミョウバンなどを入れる事も効果的です。切り花で気をつけることがもう一つあります。植物は、導管という管を通して水を吸い上げます。根から吸い上げる時は問題ないのですが、茎を切った時に導管に空気が入ると導管が詰まってしまって水を吸い上げられなくなります。ですので、水の中で茎を切るのが良いことが知られています。生け花をする人は、これを水切りと言います。
また、花は受粉が終ると老化して花びらなどの栄養分を回収します。植物の老化は、植物が自分でエチレンという物質を作って、このエチレンが植物に作用して老化するのです。エチレンの作用を抑える物質に、水に溶ける形の銀を含む物質があります。エチレンによる老化が顕著なカーネーションの切り花などにはエチレンを抑える物質がよく効きます。ただ、菊には効果が薄いようです。市販の切花の延命剤は銀や栄養分、殺菌剤が含まれていますが、商品によって内容が違うようです。箱の外に内容物が書いてあると思います。
JSPP広報委員長、大阪大学
柿本 辰男
回答日:2011-09-01