一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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オクラの実の成長スピード

質問者:   中学生   サカイ
登録番号2510   登録日:2011-08-26
オクラの実がどのくらいの早さでのびるか観察しました。
花が落ちて4㎝ぐらいまでは成長が遅いのに
その後はあっという間に(1日か2日で)
収穫できる9㎝から10㎝ぐらいにのびます。

一日に3回長さをはかってくらべました。
暑い日の日なたがよく成長すると思っていましたが
そうでもないようです。
よく伸びるときの条件が一定でなくわかりません。

オクラの実がよく成長する条件,成長が遅い条件を教えてください。
サカイ君

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。オクラの実の生長を観察して、始めのうちはゆっくりだが、そのうちに急に大きくなる事を見つけたそうですが、オクラの実だけでなく、いろいろな植物の果実、葉、また植物の個体全体も、始めはゆっくりと大きくなり、次第に大きくなり方が早くなって行きます。植物の体は細胞から出来ていますので、体が大きくなるのには、細胞の数が増えるか、細胞一個一個の体積が大きくなるかが必要です。ある種のリンゴでは、果実の重さの増加が細胞数の増加に比例して起きています。果実の重さは細胞数が増えるだけで増えているわけです。細胞数は1個が2個に2個が4個に4個が8個に・・・128個が256個に256個が512個に・・・と現在の細胞数に比例して増えるので、このリンゴの果実の生長が、はじめはゆっくりで、次第に早くなることは十分納得出来ると思います。個体全体についても、葉の量がまだ少ない頃は、光合成量も少なく、生長はゆっくりですが、葉が多くなると、光合成量も多くなるので、生長が早くなります。この場合も,始めゆっくり、やがて急速になることが、納得出来ます。ところが、多くの場合、果物では、細胞分裂は生長の早い時期に終了し、その後は細胞一個一個が体積を増大させることによって大きくなっています。サカイさんの観察したオクラの場合も、細胞分裂は最初の短い期間で終わり、それからは細胞が体積を増大させる事で大きくなっていると思います。急速な実の生長は、細胞体積の増大によるのではないかと思います。前述のリンゴの場合ですが、重さの増加より体積の増加の方が大きい事が報告されています。細胞と細胞の間に空気がはいったことによるものです。本題とは関係がありませんが、リンゴの切り口が白く見えるのはこの空気によるものです。オクラの場合も空気による体積の増大が後半の体積増大に大きく寄与していると思います。

オクラの生長の条件ですが、実の体積増大が細胞の体積増大によるとすると、細胞の体積増大は細胞の吸水によるものなので、水の供給がなくては大きくなれません。潅水は大切だと思います。実が大きくなるためには実を作るための材料とエネルギーが必要です。これらは光合成によって賄われるので、光も必要です。オクラの実の生長に対する環境要因の影響については、ご自分で観察なさってみて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2011-09-04
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