一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花が咲くまでのひまわりの夜の動きについて

質問者:   小学生   ショー君
登録番号2515   登録日:2011-09-13
自由研究で4年間ひまわりの観察をしました。はじめは、花が開くまでつぼみが、太陽を追うように動いているだけかと思ったら、太陽のない夜の間に、西向きから東に向くことがわかりました。いろんな本には、太陽の光を受けることでより多く作られるオーキシンという成長促進ホルモンによって、茎の片側がより成長してひまわりのつぼみが太陽のほうを向くことが出ています。しかし、夜の動き(ひまわりの癖?)についてはわかりません。ひまわりの中で、どのようなことが起きているのでしょうか。
ショー君

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。小学校6年生でもう4年間もヒマワリと付き合ってこられたと云うことですが、すごいですね。私も長い間、ヒマワリと付き合いましたが、付き合い始めたのは中学3年のときでしたので、ショー君に負けています。ヒマワリの品種とか、大きさとか、植えてある場所などで、少し違うかも知れませんが、私の観察をもとにお答えします。まず、ショー君は観察結果をどう記録していますか。私は茎の先端の部分の垂直方向との角度を測って、グラフを描きました。角度を測るのは1時間おきで、土曜日に学校から帰ってから日曜日のお昼まで24時間です。始めは晴れた日だけでしたが、そのうち、曇りでも、雨でも測るようになりました。観察を始めるのはお昼なので、茎の先端は上を向いていますが、だんだん西に傾いて行きます。日が当たらなくなっても、まだ2時間くらいは西へ傾いて行きます。その後、上を向くように動くのですが、真上を向いても止まらず東に向いて行きます。この形で日の出を待つのかと思うと、そうではなくて、また上を向き始めます。真上を通り過ぎる場合もありますし、過ぎない場合もあるのですが、また東を向き始めます。今度こそ、その形で日の出を待つのではないかと思ったのですが、また上に向いて動きます。その頃ようやく日が当たり始め、日に連れて上を向くように動き、24時間が終わります。こんな複雑な動きを示すのは、草丈が1メートルくらいのヒマワリですが、まだ本葉が2枚の若いヒマワリですと、動きはこんなに複雑ではありません。日が陰ると上を向きだし、一度東を向いてまた上を向く途中で日が出て、それからは日に従うという運動をします。若いヒマワリの夜の運動は、茎は重力に逆らって上を向いて伸びるという性質(屈地性)を持っていますので、そのためと考えられます。大きくなったヒマワリの運動は屈地性だけでは理解出来ません。そこで、若いヒマワリと大きくなったヒマワリとの違いはなにかと考え、大きくなったヒマワリは大きくなった葉を持っているからだと考えました。大きくなった葉は、長い時間生きていた葉でもあります。そこで、多きな葉(4センチ以上)を全部取り除いてみました。すると夜中の複雑な運動は消えました。もう一つ、若いヒマワリと大きくなったヒマワリの違いは、若いヒマワリでは晴れた日は動きますが、曇りや雨の日には動かないのに対して、大きくなったヒマワリでは曇りでも雨でも、晴れた日と同じように動きます。毎日、毎日太陽を追いかけて動いているうちに動く癖がついたようです。癖がついている事は、大きな植木鉢にヒマワリを植え、大きく育てた後に、植木鉢を持ち上げて水平方向に180°回転させる実験で確かめる事が出来ました。回転されたヒマワリは朝は西、夕方は東へと、太陽に逆らって動いたのです。ここまで私の観察結果と、私の考えを書きました。この後はショー君にお任せします。私の考えた癖ってなんだろうか、その本体を明らかにして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2011-09-26
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