一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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吸収スペクトルは当たる光の強さで変わるか?

質問者:   教員   はっぱ
登録番号2516   登録日:2011-09-14
いつも楽しく拝見しています。
高校の生物の授業で吸収スペクトルを教えますが、吸収率(%)で考えた時に、葉片に当たる光の強さが変わると、吸収率をグラフで表した時には形に違いは表れるのでしょうか。
例えば、赤や青色は通常相当の率で葉に吸収されますが、当たる光を過剰に強くしたときに、吸収しきれない部分が多くなり、吸収率が低くなるのでしょうか?緑色は吸収されない部分が赤や青よりは多いですが、当てる光を弱くしたときに、吸収される部分が多くなり、吸収率が強くなるのでしょうか?
なので、研究で吸収率等を測定するには、葉に当てる光の強さは少なすぎず多すぎず決まっているのでしょうか?よろしくお願いいたします。
はっぱ さん

このコーナーをご覧下さっているとのこと、たいへん嬉しく思います。
最初に、関連した説明をさせていただきます。
一般に、吸収スペクトルでは波長に対して“吸光度(註)”をプロットすることが多いのですが、吸収率の場合もあるかと思います。ただ、光の吸収を吸光度で表現した場合、その値が関係する色素分子の濃度に比例する点で便利です。

ところで、光の吸収率を知るためには、その“反射率”と“透過率”を求める必要があります(すなわち、入射光、反射光、透過光の強度の測定です)。一般的に言って、これらの測定において入射光(当てる光)の強度は結果に影響を与えないと思って良いでしょう。ただし、これまた一般的な話ですが、余りにも強い光を当てると色素を破壊する光化学反応がひき起こされる恐れがありますし、また、光を吸収する分子の間に何らかの相関がある場合や照射される光の強度によって色素分子の分布に違いが生ずるような場合には、入射光の強度が結果に影響を与えることが考えられます。

‘(註)
吸光度(A)= -log(I/Io);Ioは入射光の強度;Iは透過光の強度(したがって、I/Ioは透過率)

吸収率 =1-透過率
(ただし、以上の関係は反射を考えない場合に成立する)

植物の葉に即した具体的な説明になっておりませんが、これで回答とさせていただきます。もし疑問な点が残るようでしたら、更なる質問をお寄せください。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2011-09-26
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