一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ルビスコの発見の仕方

質問者:   高校生   ばばじょう
登録番号2522   登録日:2011-09-26
私たちは、農業高校でルビスコについて調べています。
先生からは、たんぱく質の泳動を行って調べてはどうかという提案をいただきましたが、ほかに、もっと正確に、微量な研究材料でもルビスコの発見が可能な方法はないでしょうか。
ばばじょう 君

ご質問をありがとうございました。
内容に関係しませんが、「発見」という用語は、ふつう“はじめて見つけ出すこと”として使われるので、ここでは「検出」の方が適当だと思います。

さて、「ルビスコ」とは、光合成における二酸化炭素固定の反応に関与するリブローズ-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼのことですね。

ルビスコは酵素ですので、原理的には、カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼの酵素活性として検出するのが、正確で、また鋭敏な方法だと思います。酵素活性の測定は、基質である二酸化炭素の減少や、反応産物である3-ホスホグリセリン酸の生成などで見積もることになりますが、測定は簡単だとは言えません。

一方、ルビスコは光合成を行う細胞に大量に存在するタンパク質(葉の全タンパク質の30%にも達することがあるとか)で、電気泳動による検出が容易です。先生がおすすめのようで、学校に装置はそろっているものと思われますので、こちらの方を検討されてはいかがでしょうか。方法の概略は、材料に含まれるタンパク質を界面活性剤(SDS)でポリペプチドにまで解体し、ポリアクリルアミドゲルを担体とする電気泳動で分け、色素で染色して検出するやり方です(SDS-PAGEと呼ばれます)。この方法で、ルビスコのサブユニット(分子量、約5万)が容易に、鋭敏に検出できます。ただ、この状態では酵素活性を検出することは出来ません。どのポリペプチドのバンドがルビスコであるかを知るためには、特異的に反応する抗体と反応させることが必要になります(関連して、抗体と装置が必要です)。

以上、ご参考にしてください。さらなる質問がありましたら、また、このコーナーを訪ねてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2011-10-05
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