一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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球根と株は同じですか?

質問者:   中学生   かずくん
登録番号2529   登録日:2011-10-14
バナナは木ではなく巨大な草で株で増えると聞きました。
チューリップやヒヤシンス、ダリアなどは球根ですが、株は球根の一種なのですか?
かずくん 

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
植物を育てていると、株という言葉がよく使われますね。「株分け」、「株立ち」、「切り株」、「親株」、「古株」などです。球根もそうですね。「株」や「球根」という言葉は、植物学としての学術用語ではなくて、園芸や農学の分野で一般的に用いられる言葉です。 株という場合、何を指すかは多少あいまいですが、ふつうは草本性植物(草の仲間です)で、茎の基部から芽(腋芽、側芽といいます)出て茎が何本も集まった様な状態になったものをいいます。野外や庭園でで、まとまって何本も茎が出たり,花茎がでたりしている大きな草の集まりのような状態を見かける事がありますが、こういう状態のものを大きな株だと表現します。園芸では植物体を増やすのに、勿論種子から育てる事もありますが、このような株から一本づつ根のついた茎を切り取って別々にして育ててやる事もしばしば行われます。これを「株分け」と言っています。また、苗を売っている時など、根がついた植物体の数を1株,2株などと数えることもあります。樹木についてはあまり株と言う表現はあまり使われませんが、地上部を切り取った残りを「切り株」といいます。ただ地上部(茎と葉)だけを指して株という事はないようですから、株と呼ばれるためには根がついている必要があると思います。
「球根」とは一部のいわゆる宿根草が持っている養分の貯蔵器官で、形態学的には茎、葉あるいは根に相当します。「球根」というので「根」のように思いますが、実際に「根」が球根である場合は、サツマイモ,ダリア、カラスウリ、キャサバなどあまり多くはありません。植物学的には「塊根(カイコン)」と称しています。いわゆる「球根」のほとんどは、植物学的に言うと、「茎」に相当します。専門的な分類ではタマネギ、ラッキョ、ヒヤシンス、チューリップ,スイセン、ヒガンバナ、ユリ(ユリ根と呼ばれていますが、根ではありません)などの「鱗茎(リンケイ)」と呼ばれるもの、ジャガイモ,キクイモ、ベゴニア(塊茎ベゴニアの場合)、アネモネなどの「塊茎(カイケイ)」と呼ばれるもの、クワイ、シクラメン、クロッカス、グラジオラス、アヤメ、フリージア、サトイモ、コンニュヤクなどの「球茎(キュウケイ)」と呼ばれるもの、そしてハス(レンコン)、ショウガ、カンナ、ナルコユリなどの「根茎(コンケイ)」と呼ばれるものがあります。 

以上のように、株と球根とは同じではありません。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2011-10-24