質問者:
会社員
花の精
登録番号2534
登録日:2011-10-17
植物の白花はアントシアニンおよびカロチノイドを生合成しないということですが、白花は人為的に他の色へと変化させることは可能でしょうか?みんなのひろば
花の色の変化について
関連する質問
①例えば、アントシアニンおよびカロチノイドを外部(地中)から吸収させ場合:あくまでもアントシアニンおよびカロチノイドを植物体が吸収することが前提ですが・・・
②月見草はなぜ白から紅に花色が変化するのでしょうか?
これは酔芙蓉と同じくシアニジン発現によるものでしょうか?
③白花にはアントシアニンおよびカロチノイドの分解酵素系の関与はないのでしょうか?
花の精様、
みんなのひろばへの質問ありがとうございます。サントリーで青いカーネーションや青いバラを開発された田中良和博士に回答をしてもらいました。
質問:白花は人為的に他の色へと変化させることは可能でしょうか?
回答:白くなっている原因にも寄りますが、可能です。白くなっているのは多くの場合、花の色を合成する遺伝子のいずれかが突然変異で機能をなくしているからです。この遺伝子を導入すれば色は復活するはずです。実際サントリーが販売しているカーネーション「ムーンダスト」は、白いカーネーションに遺伝子を2個導入することで作られました。
花色に関しては 講談社ブルーバックス 「花はふしぎ」(岩科司さん)があります。また、名古屋大学の吉田先生のホームページが詳しく、かつ、正確です。
http://www.info.human.nagoya-u.ac.jp/lab/yoshida/yoshida.html
以下余談
アントシアニンが合成されていないと人間には白く見えますが、アントシアニンに合成される前のフラボノイドであるフラボノールやフラボンは溜まっている場合が多く、これらは紫外線を吸収するため、昆虫には見えるはずです。
関連質問①:例えば、アントシアニンおよびカロチノイドを外部(地中)から吸収させ場合:あくまでもアントシアニンおよびカロチノイドを植物体が吸収することが前提ですが・・・
回答: アントシアニンはカロテノイドの輸送には植物側の仕組みが必要ですし、植物の中を自由に動けるわけではありませんので、吸収しそうにないと思います。(やってみたことはありません。)また、土の中の微生物に分解されてしまいそうですね。
関連質問②:月見草はなぜ白から紅に花色が変化するのでしょうか?これは酔芙蓉と同じくシアニジン発現によるものでしょうか?
回答:月見草の場合はわかりませんが、花が開花してからアントシアニンが合成される植物種・品種はありますので、月見草の場合もそうだと思います。
月見草でもいろいろな種があるようです。学名Oenotheraで調べてみますと、シアニジンを合成するという古い報告が以下にあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1253393/pdf/biochemj01100-0099.pdf
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1260797/pdf/biochemj01118-0250.pdf
色が変わる例としては以下があります。
ウコンウツギ
http://www.geocities.jp/alplantsenvi/alpine-plants/ukon/ukon.html
また、バラの中でも開花してからシアニジンが合成される品種もあります。
http://www.wdc-jp.biz/pdf_store/jspcmb/pdf/pb28_2/28_239.pdf
関連質問③:白花にはアントシアニンおよびカロチノイドの分解酵素系の関与はないのでしょうか?
回答:白いキクの場合は、黄色のカロテノイドを分解して白くなっていることが、(独)農研機構花き研究所により明らかになっています。
http://www.flower.affrc.go.jp/kenkyusho/research/team02/theme_1/index.html
花の中にはアントシアニンが次第に分解されて白くなるものもあります。仕組みはまだよくわかっていませんが、酸化酵素で分解されるという説があります。
以下に、ニオイバンマツリ(Brunfelsia)の例があります。
http://www.agri.gov.il/people/575.aspx
田中 良和(サントリー植物科学研究所)
みんなのひろばへの質問ありがとうございます。サントリーで青いカーネーションや青いバラを開発された田中良和博士に回答をしてもらいました。
質問:白花は人為的に他の色へと変化させることは可能でしょうか?
回答:白くなっている原因にも寄りますが、可能です。白くなっているのは多くの場合、花の色を合成する遺伝子のいずれかが突然変異で機能をなくしているからです。この遺伝子を導入すれば色は復活するはずです。実際サントリーが販売しているカーネーション「ムーンダスト」は、白いカーネーションに遺伝子を2個導入することで作られました。
花色に関しては 講談社ブルーバックス 「花はふしぎ」(岩科司さん)があります。また、名古屋大学の吉田先生のホームページが詳しく、かつ、正確です。
http://www.info.human.nagoya-u.ac.jp/lab/yoshida/yoshida.html
以下余談
アントシアニンが合成されていないと人間には白く見えますが、アントシアニンに合成される前のフラボノイドであるフラボノールやフラボンは溜まっている場合が多く、これらは紫外線を吸収するため、昆虫には見えるはずです。
関連質問①:例えば、アントシアニンおよびカロチノイドを外部(地中)から吸収させ場合:あくまでもアントシアニンおよびカロチノイドを植物体が吸収することが前提ですが・・・
回答: アントシアニンはカロテノイドの輸送には植物側の仕組みが必要ですし、植物の中を自由に動けるわけではありませんので、吸収しそうにないと思います。(やってみたことはありません。)また、土の中の微生物に分解されてしまいそうですね。
関連質問②:月見草はなぜ白から紅に花色が変化するのでしょうか?これは酔芙蓉と同じくシアニジン発現によるものでしょうか?
回答:月見草の場合はわかりませんが、花が開花してからアントシアニンが合成される植物種・品種はありますので、月見草の場合もそうだと思います。
月見草でもいろいろな種があるようです。学名Oenotheraで調べてみますと、シアニジンを合成するという古い報告が以下にあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1253393/pdf/biochemj01100-0099.pdf
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1260797/pdf/biochemj01118-0250.pdf
色が変わる例としては以下があります。
ウコンウツギ
http://www.geocities.jp/alplantsenvi/alpine-plants/ukon/ukon.html
また、バラの中でも開花してからシアニジンが合成される品種もあります。
http://www.wdc-jp.biz/pdf_store/jspcmb/pdf/pb28_2/28_239.pdf
関連質問③:白花にはアントシアニンおよびカロチノイドの分解酵素系の関与はないのでしょうか?
回答:白いキクの場合は、黄色のカロテノイドを分解して白くなっていることが、(独)農研機構花き研究所により明らかになっています。
http://www.flower.affrc.go.jp/kenkyusho/research/team02/theme_1/index.html
花の中にはアントシアニンが次第に分解されて白くなるものもあります。仕組みはまだよくわかっていませんが、酸化酵素で分解されるという説があります。
以下に、ニオイバンマツリ(Brunfelsia)の例があります。
http://www.agri.gov.il/people/575.aspx
田中 良和(サントリー植物科学研究所)
JSPP広報委員長
柿本 辰男
回答日:2011-11-01
柿本 辰男
回答日:2011-11-01