高橋三郎　様

このコーナーに質問をお寄せ下さりありがとうございました。ご質問には植物の成長（生長）に詳しい大阪市立大学大学院の保尊隆享先生が回答文をご用意下さいましたので、ご参考になさって下さい。


（保尊先生からの回答）
私たちの体と同じように、植物体は高濃度のイオンを含む水溶液で満たされており、特に表面が濡れていたり湿っている場合には、よく電流を通します。しかし、植物の体のつくりは分散的で心臓や脳のような機能的な中枢はありませんし、表面温度が低く痛みの感覚もありませんので、電流が小さな場合にはあまり影響を受けないと考えられます。もし大電流が流れると、植物体も萎れなどの損傷を受けます。

植物の成長に対する電気の影響は古くから注目され、いろいろと研究されてきました。その結果、条件によっては、µA（マイクロアンペア）程度の電流によりある程度の成長促進が見られることが報告されています。また、この効果が植物ホルモン作用や栄養吸収過程に対する影響を通して現れるという主張もなされています。ただし、植物の成長は、光や温度などの他の環境刺激によってもっと強く影響されますから、電気の効果だと断定したり、他の植物や条件に一般化することはとても困難です。

感電しないように十分にご注意の上、これからも水耕栽培を楽しんでください。

保尊　隆享（大阪市立大学）