一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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りんごの着色、糖度上昇に役立つのでしょうか

質問者:   一般   たた
登録番号2544   登録日:2011-10-31
りんごの着色を良くする為の一つに紫外線が必要とありますが、紫外線ライト(爬虫類用の紫外線ライト)を直接照射した場合、効果はあるのでしょうか。問題点と、もし効果があるとしたならば、有効な使用法がありましたらご教授をお願いします。
たた さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
果実、花、葉の着色に対する紫外線の効果、影響についてはたくさんの研究が行われており、多くのことが分かりつつあります。紫外線はその波長の範囲によってUV-A(400-320nm)、UV-B(320-280nm)、UV-C(280-200nm)の3つに分けられますが、このうち地上に届くのはUV-AとUV-Bでそれぞれ太陽光に含まれる約90%、約10%とされています。そのため、問題になるのは主にこの2種の紫外線です。果実、花, 葉などの着色(アントシアニンの合成による)には紫外線が必要で、紫外線を含まない白色光を照射した場合には着色が悪く、白色光に紫外線を含ませると着色が盛んにおこります。植物種、組織・器官の種類によって、もっとも効果のある紫外線の種類は違い、花や茎にはUV-A、UV-Bどちらも同じように有効(紫外線の光量を同じにした場合)のようですが、リンゴなどではUV-Bがもっとも有効とされています。これらのことは厳密な実験条件下での結果ですが、実際には動物飼育などに使用される紫外線ランプの光源にはUV-AもUV-Bも含まれています(UV-Aが主で規格によってUV-Bの含まれる割合は異なるようですが)のではっきりとした効果が得られる筈です。リンゴの場合は、温度が大きく影響します。例えば摂氏17度と27度とで紫外線の効果を見ると、低温でアントシアニン合成が盛んになり、より強く着色することが分かっています。白色光に補光する紫外線(UV-B)の強度は、リンゴでは約2ワット/平方メートルほどで効果が飽和するとの報告はありますが、効果は、白色光や紫外光の強度、温度、果実の熟度などいろいろな条件が影響しますので、ある条件下での最適条件は探すことが必要だと思います
なお、紫外線による色素形成に関してはこのコーナーの登録番号1942、2097にもありますのでご参考になさってください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-11-01
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