一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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低温処理の効果

質問者:   高校生   Y
登録番号2550   登録日:2011-11-05
野菜 実教出版P20より
図18種子の低温処理による開花促進と、一寸ソラマメの写真が掲載されています

そこで、何故低温処理をすると生育に影響が出るのかが気になりました

また低温処理期間が長い程、開花促進のスピードが速くなるのでしょうか?

是非教えて下さい!
Y さん:

参考にされている書籍は高等学校農業の教科書のようで、公共の図書館、図書室で見つけることができませんでしたのでどのような記述なのか分からず、どうして「低温処理をすると生育に影響が出るのかが気に」なったのかが分からないのでご質問の主旨がはっきりしません。ある種の植物では、種子が発芽するために一定期間の低温を必要(種子休眠の打破)とするもの、花芽形成に一定期間の低温を必要(春化)とするものがあります。ソラマメは秋まきコムギと同様に後者に属するものです。自然の状態では、秋に蒔かれた種子は発芽するとまもなく冬の低温期に曝されます。それが春に気温が上昇して15〜20度くらいになると生育が盛んになり、初夏に開花、結実します。野菜としては未熟の種子を食用にしますので初夏〜夏が旬となるものです。つまり、ソラマメは発芽種子が低温にあうと花芽を形成する性質があります。この性質を利用して、なるべく早くソラマメを供給(早だし)するため、晩夏に人工的に低温処理を行い、冬期はトンネル栽培やビニールハウスなどで生育適温を保つようにして4〜5月に収穫する作型が生み出されたのです。低温処理期間は3週間から4週間が普通で、それ以上長く処理しても生育が遅れるので意味がなくなります。低温処理で「開花促進のスピード」が速くなるというものではありません。また生育は温度、日照がもっとも強く影響します。地方によって生育適温期の時期が違いますので低温処理の時期、植え付けの時期、したがって収穫時期などはそれぞれ異なってきます。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-11-15
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