一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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昼における植物の呼吸について

質問者:   会社員   あひる
登録番号2562   登録日:2011-12-03
はじめまして。いつも参考にさせて頂いております。

中学生の定期テストに、植物の気孔から、昼間に出て行く気体を2つかけ、という問題が出題されていました。答えは「酸素と水蒸気」です。
いままでにも似たような問題は何度も出題されているとは思うのですが、今回は「気孔からでる」という言葉に少し引っかかってしまいました。

中学校では、「植物は、昼も夜も関係なく呼吸を行っているが、昼間は光合成のほうがさかんなので、二酸化炭素を取り入れて酸素を出している」というふうに習います。私は今までこれを「出入りする気体の総量」と解釈していました。たとえば、植物をビニール袋にいれて光合成や呼吸をさせる実験をしたとき、実験前後でのその袋内の気体の増減のことだととらえていました。おそらく教科書で行われている実験などはその通りであると思います。

ただ、今回は「気孔から出る」気体についてだったので、少し疑問が生じました。昼間、植物が呼吸も光合成もしているのなら、光合成の方が盛んでも二酸化炭素は出ているのではないか?と思ったのです。参考書等も調べたのですが、そこまで細かいことは書いてありませんでした。インターネットで検索したり、こちらの過去の質問等を拝見したりもしましたが、なかなかピンとくる答えを見つけられませんでした。



そこで質問です。

植物は、昼間光合成と呼吸を同時に行っている際、二酸化炭素を気孔から出さないのでしょうか。エネルギーを取り出す時に生じた二酸化炭素は、そのまま植物体内から出ることなく、光合成の材料として使われるのでしょうか。

長くなりましたが、よろしくおねがいします。
あひる さん

ご質問をありがとうございました。また、このコーナーのご利用ありがとうございます。
疑問に思われるのは当然かも知れません。二酸化炭素(CO2)の場合、例えばその1モル(44グラム)は、約600,000,000,000,000,000,000,000(6x10の23乗)個の分子で出来ており、気体の状態ではそれらの分子はでたらめに運動しています。そんな具合ですので、一つひとつの分子の挙動をすべて把握することは困難です。もし放射性などの“標(しるし)”を特定の分子につけられるとしたら、呼吸で発生した二酸化炭素の一部が昼間に気孔から排出されるのを確認することは不可能ではないと思います。
しかし、中学校の問題では、個々の分子の話しは意味がないことで、あくまでも“総和として(差し引きとして)”の出入りを考えるのが妥当だと思います(それが通常の測定にかかることですので)。
“植物の気孔から、昼間に出て行く気体を2つ”のうちに二酸化炭素を入れるのは、量的な視点から考えて、妥当ではないと言う他はありません。
以上、回答とさせていただきます。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2011-12-09
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