一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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根の道管と師管

質問者:   中学生   パンダ
登録番号2564   登録日:2011-12-04
植物の根の道管と師管は互い違いに放射状に並んでいるということを教科書で知りました。染色実験で、根を縦に切るとどのような結果になるのでしょうか。切る部分によって道管の染色実験結果は変わるのでしょうか?
根を縦に切った断面の画像をインターネットで検索したのですが、いまいちどのように染まるきまりがあるのか判断できません。

また、ある参考書には、「根の道管は、先のほうでは根の中心部に集まる。」と記載されていました。これは、主根側根とひげ根のどちらにもいえることなのでしょうか?
何かわかりやすい図の資料があったら教えてほしいです。
パンダ様

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。まず、ご質問にお答えする前に、植物によって根の中の道管の並び方が違うという話から始めます。茎の中心には必ず髄(ずい)と呼ばれている部分がありますが、根では中心に髄を持っている植物と持っていない植物があり、髄のあるなしで道管の並び方が違っています。街の図書館で中学生向けの植物の本を見ましたが、この二つの違いを示してある本は見つかりませんでした。パンダさんが「根の道管と師管は互い違いに放射状に並んでいるということを教科書で知りました」と書いておられるところから、パンダさんは髄がある場合の並び方を習ったのだと思います。髄がない場合は、パンダさんが習った放射状に並んでいる道管の分布が根の中心部にまで広がっており、そこでつながっていると考えて下さい。街の図書館で見た中では、学研の「原色ワイド図鑑」“花・作物”の中の、若い根の作りの絵に髄のない根の木部の様子が分かりやすく描かれていました。パンダさんが読まれた参考書に「根の道管は、先のほうでは根の中心部に集まる。」と書いてあったそうですが、「原色ワイド図鑑」の絵のような状況の事だと思います。主根、側根、ひげ根にかかわらず、髄がない根では、道管が中心部にある状況に変わりはありません。髄のある根では、根の中心部に髄が出来ると道管はばらばらになり、パンダさんが習ったような並び方になるのです。髄のない根と髄のある根の道管の並び方の違いは「植物形態学」(原襄著・朝倉書店)に分かりやすい模式図で示されています。図書館にあったら見て下さい。さて、縦切りにするとどうかですが、髄がない場合には中心を通る面で切れば必ず道管が見える筈です。髄がある場合ですと、切る面では全く道管が見られないこともあると思います。顕微鏡の倍率をあげれば道管の細胞には独特な模様が付いているのでどこにあるのか分かります。根の縦切りの写真が載っている本もありますが(例えば「万有百科大事典・植物」:小学館)、写真をルーペで見ても道管は確認出来ないと思います。私も道管を染めた根の縦切りの写真を見つける事はできませんでした。顕微鏡が使えたら実際に見てみるのが一番ですが、輪切りに較べ,縦切りはかなり難しいです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2011-12-14
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