一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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カボチャのカロテン

質問者:   自営業   タンポポ@東京
登録番号2566   登録日:2011-12-06
小学生向けに顕微鏡を使った生物の観察会を定期的に開催しています。目下次回の「くだものとやさい」の準備をしていますが、カロテンの観察対象としてニンジンとカボチャを選び顕微鏡で観察をしたところ、ニンジンのカロテンは針状の結晶として観察できましたが、カボチャの方は丸くて透明に近いデンプン粒と思われるものは観察できますが、カロテンの黄色い色素はぼやっとしたものしか見えません。カボチャのカロテンを顕微鏡で観察するにはどのようにしたらよろしいのでしょうか。
タンポポ@東京さん

本コーナーに質問をお寄せ下さり有り難うございます。
この質問への回答文は、カロテノイドについてお詳しい日本医科大学の高市真一先生が用意して下さいました。ご参考にして下さい。



【高市先生からの回答】
顕微鏡観察ではいかに切片を薄く作るかが一つの問題です。私の大学では1年向けの学生実習で、最初に、葉の表皮細胞(表皮組織)をはがして観察をします。普通には表皮は1層の細胞からできています。ニンジンの根のように元々ある程度堅いと、うまく切ると薄い切片ができます。コツは角柱を作り、上面の少し下から上面の途中を目指して切り上げていきます。上面を含む長い三角形のような形です。刃を入れたところはいくつかの細胞が重なっていても、最後に切れたところは1層になります。カボチャの実も周辺の堅いところを使うと、同様に薄い切片ができると思います。カボチャの中心部は柔らかいので、むしろ水中でほぐすようにすると細胞が重ならなくなるかもしれません。このあたりは試行錯誤をして下さい。

ニンジンの根は品種にもよると思いますが、細胞の中に結構大きな針状結晶があります。カボチャの実は見たことがなかったので顕微鏡で観察をしてみました。結晶ではなく黄色い塊でした。普通には結晶は同じ物質が集まってできるので、カボチャのカロテノイドは多種類の分子からできているので、結晶ができないか、あるいはできにくいのかもしれません。ミカンやトマトの実にもカロテノイドが有ります。植物による違いを観察するのも良いかもしれません。

高市 真一(日本医科大学生物学教室)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2012-04-15
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