一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トマトの熟れかたについて

質問者:   自営業   トマト屋
登録番号2573   登録日:2011-12-24
養液栽培で、長期作でトマトを栽培しています。
収穫は10月から7月まで収穫しています。
栽培期間中、何度か、いきなり実が熟れだして、その後収量が極端に落ちることがあります。
これは、ストレスで樹勢が落ちて、トマト自身が、着果の負担を軽くするように、早く熟れさせているんでしょうか?
回答をよろしくお願いします。
トマト屋 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

ご質問は、トマトの施設栽培を専門に研究されている野菜茶業研究所の鈴木克己先生に回答をお願いしました。施設栽培では自然環境の他に人為的に制御する条件が多岐にわたり、わずかの条件の変化が生育、収穫に大きな影響をもたらしますので、異常がおきた場合の条件を十分にご検討された上で対策を立てることが必要なようです。



【鈴木先生からのご回答】
 どういった状況下で起きているのか質問内容から分かりづらいので、一般的なケースとして回答いたします。

 通常条件では、トマトの開花から収穫までの日数は温度と深く関わっており、品種毎に若干異なるものの有効積算温度でだいたい決まっています。果実が一斉に熟す時期としては、冬が終わって急に暖かくなった春の時期があります。冬の間、低い温度で生育していた果実が、春先に日長が長くなり日射が強くなったため、高い温度となり、一斉に有効積算温度となり色づき始めます。このほか、ストレス条件下、例えば、乾燥、高EC、窒素過多、過繁茂、などの条件では果実が尻腐れ果になりやすく成熟が通常より早まる場合があります。長期多段栽培している草丈が長いトマトでは、曇天が続き急に晴天になった場合など、ストレスを受けやすく、しおれが生じることがあります。その時着いていた果実は、その後尻腐れ果になりやすく、熟しやすくなります。実が少なくなれば生殖生長と栄養生長のバランスが栄養生長側に傾くため、樹勢はそれ以前よりも強くなります。

鈴木 克己(野菜茶業研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2012-01-20
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