質問者:
会社員
さかい
登録番号2594
登録日:2012-02-03
「植物工場」という栽培方法、特に養液栽培を知り生じた素朴な疑問ですが、野菜を育てても最終的には捨てられるだけの根っこ、光合成のように人工的に置き換えることができない化学反応をしているわけでもない根っこ。これを、人工的な根っこ(例えば栄養チューブ)で代用し、本当に植物が吸収する水分と養分だけで栽培することは、技術的に可能でしょうか。みんなのひろば
野菜用の人工の根っこは作れますか?
イメージとしては、地上部と地下部の境目ですぱっと切断し、地下部の根はそれ以上成長しないよう抑制し、代わりに、根から吸収するはずの養分や水分の通り道にチューブをつないで、水や養分を本当に必要な量だけ直接送り込む・・・。根の全体に対して、樹木の根接ぎのような処置をする、というイメージです。
根の機能として水や養分の吸収、地上部の固定とありましたが、素人的に考えると、水や養分の吸収は栄養チューブで直接送るほうが確実に思えますし、地上部の固定は、植物工場であればどっちみち固定されていると思います。根の近傍の微生物の機能も、予め吸収しやすい栄養分を調整すれば良いように思えますし、ホルモンなども地上部の状態に応じて人間が制御して投与するほうが、栽培という点では確実なように思えます。
実だけ、葉だけ、という部分的な栽培に比べ、根無し、というのは実現も容易そうに思えながら実際にそのようなものがないのは、技術的に難しいからでしょうか、あるいは何のメリットも出せないからでしょうか。
単純に興味からだけの質問ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
さかい様
みんなのひろばへのご質問有り難うございました。昔、食肉用のニワトリの羽は無駄だと、羽のないニワトリを作り出した育種学者がいました。女性だったと思います。羽に行く分の餌代が浮くと思っていたのですが、羽がないことで体温を維持するために余計に食べなければならず、却って餌代はかさんだそうです。ご質問を頂いた時、その話を思い出しました。植物の中にはミジンコウキクサのような根のないものもあり。また葉の原基(葉になる元のもの)を培養して一人前の葉に育てることが出来ることなどから、根のない植物を育てることは不可能ではないと思いますが、もし、やろうとするなら、覚悟が要ります。まず、切り花を水にさすのと違って、根を切り捨てた切り口を栄養たっぷりの培養液に浸けるのですから、切り口にカビが生えるでしょう。無菌的に生育させる必要があります。先ほどの葉の原基を培養した場合も、無菌的に培養しています。根を切り取ると切り口から不定根と呼ばれる根が出てきます。根が厭ならこれを除去しなければなりません。雑草駆除より面倒だと思います。1本のライムギの冠根(1次根)、2次根、3次根、4次根の長さと数から根の全長を計算した人がいます。計算によりますと、約 600 km と東京から西明石までの長さだそうです。その人は、600 km の長さの根の表面に生えている根毛の総表面積も計算しています。400 m2 及ぶそうです。これが、地中から水や無機栄養を吸収するために植物が用意した装置です。また、根は水分のある方へ伸びたり、無機栄養のある所で側根を増やしたりと、地上部の為に尽くしています。根を除去せずに、根に水や無機栄養を地上部に供給する仕事を任せる方が良いのではないでしょうか。私なら、根を除去して地上部を育てるより、不要と思われる根の利用法を考えると思います。どうしても根のない植物をとおっしゃるのでしたら、ミジンコウキクサとかクロレラのような藻類が良いでしょう。
みんなのひろばへのご質問有り難うございました。昔、食肉用のニワトリの羽は無駄だと、羽のないニワトリを作り出した育種学者がいました。女性だったと思います。羽に行く分の餌代が浮くと思っていたのですが、羽がないことで体温を維持するために余計に食べなければならず、却って餌代はかさんだそうです。ご質問を頂いた時、その話を思い出しました。植物の中にはミジンコウキクサのような根のないものもあり。また葉の原基(葉になる元のもの)を培養して一人前の葉に育てることが出来ることなどから、根のない植物を育てることは不可能ではないと思いますが、もし、やろうとするなら、覚悟が要ります。まず、切り花を水にさすのと違って、根を切り捨てた切り口を栄養たっぷりの培養液に浸けるのですから、切り口にカビが生えるでしょう。無菌的に生育させる必要があります。先ほどの葉の原基を培養した場合も、無菌的に培養しています。根を切り取ると切り口から不定根と呼ばれる根が出てきます。根が厭ならこれを除去しなければなりません。雑草駆除より面倒だと思います。1本のライムギの冠根(1次根)、2次根、3次根、4次根の長さと数から根の全長を計算した人がいます。計算によりますと、約 600 km と東京から西明石までの長さだそうです。その人は、600 km の長さの根の表面に生えている根毛の総表面積も計算しています。400 m2 及ぶそうです。これが、地中から水や無機栄養を吸収するために植物が用意した装置です。また、根は水分のある方へ伸びたり、無機栄養のある所で側根を増やしたりと、地上部の為に尽くしています。根を除去せずに、根に水や無機栄養を地上部に供給する仕事を任せる方が良いのではないでしょうか。私なら、根を除去して地上部を育てるより、不要と思われる根の利用法を考えると思います。どうしても根のない植物をとおっしゃるのでしたら、ミジンコウキクサとかクロレラのような藻類が良いでしょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-02-14
柴岡 弘郎
回答日:2012-02-14