一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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常緑樹は離層を作らない?

質問者:   一般   りんご
登録番号2603   登録日:2012-02-21
コナラやヤマコウバシはまだ葉が残っています。
登録番号0326や0205を見ました。
「これらの現象は離層が完全にはつくられないためとも考えられます。・・・(中略)・・・。これらの植物は本来常緑性だったので,その性質をこのような形で保ち続けたまま温帯域まで分布を広げたと説明されたりします」
ということは常緑樹は落ちる時離層を作らないということでしょうか
それともコナラたちは、常緑性だったころ離層を作っていた時期は秋冬ではなかったから、作らないだけなのでしょうか
りんごさま

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。登録番号 0205, 0326 が私の担当だったと云うことで、りんごさんのご質問も私が担当することになりました。冬の山で枯れた葉を付けたままで立っているヤマコウバシは目立ちますね。牧野植物図鑑にも枯れ葉が春まで付いていることが書いてあります。落葉や落果など植物の器官脱離についての Addicott という人の本には、離層の細胞は成熟が遅いため、葉身や葉柄が死んだ後も葉柄基部の細胞は生きており、春になって始めて離層を作るので、冬の間、葉を落とさずにいるのだと書いてあります。この現象はブナの仲間、カシの仲間、カエデの仲間でもみられるそうですので、コナラの場合もこれに当たるのではないかと思います。なお、枯れ葉を冬の間付けているのは、若い木だけで、成熟するとしなくなるそうです。りんごさんのご覧になったコナラは若い木だったのではないでしょうか。ヤマコウバシは別格なのかも知れません。最後になってしまいましたが、常緑樹も離層は作ります。落葉しない植物もあるそうですが、落葉する機能を失ったものだと、Addicott の本には書いてあります。落葉させるためには蛋白質を合成する必要がありますので、落葉のための蛋白質合成が出来なくなると落葉できないのだと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-03-07
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