一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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葉以外の部位での吸収

質問者:   自営業   キーボー
登録番号2626   登録日:2012-04-10
質問1369の糖の葉からの吸収、を拝見致しました。
ところで、木本植物においては葉以外の2年以上成長した枝や幹等では葉と同じように吸収することが可能なのでしょうか?
例えば落葉樹の場合、早期落葉などで貯蔵養分の蓄積が少ないと予想される場合に、枝や幹に糖又は酢(炭水化物)を塗布すると吸収され蓄積養分は増加するのでしょうか?
ご教授お願い致します。
キーボー さん

本コーナーをご覧くださり、また、ご質問を有り難うございます。連休の時期を挟んだために回答を差し上げるのが遅くなったことをお詫びします。
一般に、生長した枝や幹の外部は、物質を透過しにくいクチクラなどで構成される樹皮の層でとり囲まれております。このため、樹皮の表面に糖又は酢(炭水化物)などを塗布した場合、これらの物質が内部に取り込まれて養分として利用される効率は大変低いのではないかと思います。養分の通路である篩管の部分に適当な方法でこれらの物質を注入するのも一案かと考えますが、落葉の時期には気温の低下などにより樹木の生理活性が著しく低下しているので、物質の転流活性も低下しているものと思われます。このため、落葉時に外側から注入した養分で生育を助けることには困難があるように感じます。しかし、以上のような懸念があるにしろ、特定の材料、特定の条件では意味があることは充分に考えられますので、試みてみられることをお勧めします。以上、暫定的な回答とさせていただきます(機会があれば、詳しい専門家の意見を聞いて見たいと思っております)。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2012-05-09