一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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常緑樹の栄養源

質問者:   一般   lunamama
登録番号2635   登録日:2012-04-27
自宅の目の前にある、由緒ある常緑の大木の周りがコンクリートで舗装されてしまいます。
崖崩れ防止のためです。
県の方では緑を残す方法を提案したそうですが、
地主さんは植物の管理がめんどいと拒否し、全面吹き付け工事になりました。

そこで質問があります。

由緒あるその大木以外伐採されてしまいました。
樹は葉や樹皮に栄養を貯めていると他の回答で拝見いたしましたが、
光合成以外に根からの吸収もあるかと思います。
伐採、埋め立てによって栄養源の一部と考えられる動植物の死骸がなくなると思うのですが
その場合、どのような影響が考えられますでしょうか?

ダンゴムシが一生懸命落葉した葉などを分解して土に還している姿を見ると
そういうものが大事な栄養源になっている気がするのですが。。
それらがなくなっても大丈夫なのでしょうか?
素人なので用語など間違っていたらすみません。
宜しくお願い致します。
lunamamaさま

みんなのひろばへのご質問有り難うございました。植物が成長するためには葉が受け取る光と、根から吸い上げる水と無機栄養が必要です。根元をコンクリートで舗装することで問題になるのは水と無機栄養です。木の根元をどのような形で舗装したのかが気がかりです。lunamama さんが心配なさっておられるように、動植物の遺体が土に還元されないことにより、土壌中の無機栄養が減ることは勿論起こりますが、雑草をとっても、とってもまた出て来ることとか、神社やお寺などでは頻繁に掃除をするので、落ち葉は取り除かれてしまいますが、木はちゃんと生きていることなどから分かるように、土の中の栄養分は結構豊富です。果樹では人間が果物を採ることにより樹木の栄養を横取りしてしまうので、肥料で補う必要がありますが、普通の樹木では肥料を与える必要はあまりありません。秋の落葉で樹木の栄養が失われることを心配なさっておられるかも知れませんが,落葉する前に植物は葉の中の蛋白質やDNAなどを分解し窒素や燐を幹の中に回収(リサイクル)してから落葉するので、無機栄養に関してはあまり損をしておらず、心配しなくても良いのです。それより心配なのは雨水が木の根元に入らなくなることです。50年くらいの昔、東京で街路樹が枯れ出したことがあり、空気の汚染が原因ではないかと騒がれたことがありましたが、原因は街路樹の根元近くまで舗装したことにより雨水がしみ込めなくなったことでした。どんな舗装をするのでしょう。根元に雨水がしみ込めるようになっていて欲しいです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-05-10