一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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マンゴーの実が割れてしまいます

質問者:   会社員   kooh
登録番号2637   登録日:2012-04-27
いつも楽しく、また大変興味深く拝見させていただいております。

質問ですが、温室でマンゴーの栽培をしており、実が大きくなってくるこの季節になると実が大きく裂け、割れてしまいます。
中身はまだ硬く、色も若干黄色がかっているだけで、上部はまだ緑です。
この熟してもないのに割れてしまう理由を知りたいのです。
また、間違った栽培をしていたら指摘していただきたいです。

苗木は輸入したもので、果樹用の鉢で支柱有りで栽培しています。
品種はキーツマンゴーだと思われます。今年で3年目で、140cm程度あると思います。
栽培土は果樹用の栽培土で、少し乾燥気味に管理しています。
追肥は2ヶ月に一回ほど化成肥料8-8-8を10gほど与えています。
受粉後は摘果していき、一樹一果に絞っています。

宜しくお願いします。
kooh さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご質問の現象は園芸分野では「裂果」といい果実類にしばしば見られる現象で品質が低下するため農業上の問題となっています。残念ながら私どもではマンゴーに限ったご質問に的確にはお答えできませんが、裂果に関する一般的な解釈を述べさせていただきます。
裂果は果実肥大成長の終わる頃におこることが多いようです。原因については、諸説がありますが、一般的には、表皮細胞の伸展性の強弱と果肉細胞の浸透圧がかなり影響していると考えられています。直接の原因は、果肉細胞の急激な吸水による膨大成長を支えるだけ表皮の伸展性があるかどうかということです。果実表皮の伸展性がある場合には果肉が膨大しても割れにくくなります。路地栽培のトマトでは、肥大した果実が雨水にあたると、果肉細胞が急激に吸水して膨大する結果おこることも記録されています。また、根からの吸水量が増加して果肉の吸水膨大してもおきるとされています。雨水にあたった場合でも、根からの吸水でも、果肉細胞の吸水力は細胞内の浸透圧の大きさに依存しますので果実の生理状態(主として糖の蓄積量)、土壌の水分状態、湿度条件の違いなどに加えて果実表皮の細胞壁組成(構造)の違いによって裂果がおきたりおきなかったりします。したがって、種、品種によって裂果がおこりやすいもの、おこりにくいものがあることになります。
病原菌による現象ではありませんので、総合的な栽培環境と生育との調和が保たれるかどうかが大切な点と思われます。マンゴーは熱帯性植物で、深根性ですので鉢植え栽培では地上部と地下部の生育のバランスをとることが重要な要素となります。鉢植えで制限される根の成長に見合う地上部の剪定量、施設内の湿度、温度、土壌水分などの要因を1つずつ検討して対策を見いだすことが必要だと思います。
ここまでお答えしたとき、サクランボの裂果に関する質問があることに気がつきました。2470もご参考になさってください
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2012-05-10
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