一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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青い花の樹木

質問者:   一般   らっぱ
登録番号2643   登録日:2012-05-06
 初めまして、よろしくお願いします。
草花の中には、青い花を咲かせる種類は沢山思い付くのですが、例えば、勿忘草、朝顔、デルフィニウム、オオイヌノフグリ、ヒアシンス・・ですが、青い花の樹木はあまり思いつきません。
アジサイ、キリとか多分青い花を咲かせる樹木はあまりないのだと思いますが、もし、そうならその理由は何故なのでしょうか?
よろしくお願いします。
らっぱ様

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。回答の中の化合物や酵素の名前はなくてもよいと思いましたが、それではちょっと寂しいのではないかと思い、書いてしまいました。無視して下さって結構です。
 青い花は樹木だけでなく、草花でも少ないのです。草花では樹木より眼につくような花を咲かせる植物が多いので、青い花の植物を思い出すことが容易なだけだと思います。バラやカーネーションについてですが、白やピンク、赤はありますが、青は自然にはありません。青い花の色素は植物にとって作りにくいのです。色素を作らなければ花は白です。ピンクや赤や青の花を作るには、それぞれの色の色素を作らなければなりません。色素はフェニルアラニンと云うアミノ酸を出発物質として何種類もの酵素の働きによって作られますが。途中までは同じで、化合物1(ジヒドロケンフェロール)が出来、ここから酵素1(ジヒドロフラボノールレダクターゼ)の働きでピンクの色素(ペラルゴニジン)が作られます。化合物1は酵素2(フラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ)の働きで化合物2(ジヒドロケルセチン)になり、化合物2はピンクの色素を作る時に働いた酵素1の働きで赤い色素(シアニジン)になります。青い色素も化合物1から作られますが、まず酵素3(フラボノイド3’,5’-ヒドロキシラーゼ)の働きで化合物3(ジヒドロミリセチン)になり、化合物3はピンクの色素や,赤い色素を作る時に働いた酵素1の働きで青い色素(デルフィニジン)になります。さてこれからが質問に対する答えです。青い花を咲かす植物が少ないのは、酵素3を持っている植物が少ないからです。青いバラや青いカーネーションの話を聞いたことがあると思います。青いバラや青いコネーションは自然にはありません。自然のバラやカーネーションは酵素1や酵素2は持っていますが、酵素3を持っていないのです。そこで、青い花を咲かす他の植物の酵素3の遺伝子を導入して作ったのが、青いバラや青いカーネーションなのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-05-09
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