質問者:
中学生
syunpon
登録番号2656
登録日:2012-06-04
毎年白色のアサガオの観察をしている初めての質問した番号1721のsyunponです。毎年、先生方からのアドバイスをいただき研究意欲に燃えています。みんなのひろば
トランスポゾンを人工的に動かせるのですか?
昨年の質問時2304で僕の白色のアサガオは雑種の可能性が高いといわれましたが、トランスポゾンの可能性も信じて種をまき続けています。今年も種を植えましたが、双葉が出た時点で茎の色で花の色が白色と予想できます。比較するために色のついた種も植えました。その茎は色素があるのでおそらく色のある花が咲くと予想されます。僕は白色のアサガオからはじめに咲いたアサガオの色になるまで種をまき続けるつもりですが、もとに戻るまでにアサガオのことについてもっと詳しくなりたいです。いろいろ調べた結果、トランスポゾンを人工的に動かしてかわり花を咲かせることができることを知りました。やってみたいのですが文献などが難しすぎるのでよくわかりません。中学生になった僕でも可能なことならばぜひ教えていただきやってみたいです。
NHKの特集や九州大学のアサガオのホームページなどもみてみました。以前高校生がトランスポゾンを動かした研究をインターネットでみたのですが...。よろしくお願いします。
Syunponさま
みんなのひろばへのご質問有り難うございました。頂いたご質問の回答を、これまでもsyunponさんのご質問に回答を用意して下さっていた大阪大学の柿本先生のお願いいたしましたところ、アサガオの専門家の九州大学の仁田坂先生とご相談の上、以下のような回答をお寄せ下さいました。しっかり勉強して下さい。柿本先生もおっしゃられておられますが、将来、研究者になられますよう期待しております。
[解答]
トランスポゾンを人工的に動かせるか、ということですが、植物がもともと持っているトランスポゾンの動き易さを厳密に制御することはできません。トランスポゾンによっては、高温、低温や、細胞培養などで良く動くようになる事はあります。遺伝子操作技術を用いてトランスポゾンの動き易さを厳密に制御できる植物を作る事も、原理的には可能です。しかし、遺伝子操作は大学等の許可された施設でしか許されておらず、また、高度な技術が必要です。大学生になったらトライしてみて下さい。
また、自然に動いているトランスポゾンによる突然変異体を見つけるということを考えてみましょう。大抵の植物は数万個の遺伝子を持っていて、トランスポゾンがどの遺伝子に入り込むかはランダムです。数万の遺伝子のうち、破壊されると興味を引くような形の変化を引き起こす遺伝子は、それほど多いわけではありません。突然変異体を見つけるには、かなりたくさんのアサガオを植える必要がありそうです。この点について、九州大学の仁田坂先生に聞いてみました。仁田坂先生の答え:「トランスポゾンの転移活性の高い系統として、雀斑(じゃくはん、そばかす、時雨絞り)等、絞り花を持つ系統が挙げられますが、既存のアサガオ系統のほとんどはトランスポゾンの転移が続いています。そのため、どのような系統でも多数栽培すると、トランスポゾンのよる変異(ほとんどが劣性)がアサガオの持つ自家受粉する性質によって劣性変異が目に見える形で表れてきます。これまでの経験ではやはり1,000本程度に1本程度、新規変異が出現してきました。」
また、白色のアサガオを何世代も植えて色が復帰するかどうかの実験ですが、トランスポゾンならば色が復帰した部分が斑点状に現れることが多いですので、可能性は低い様に思います。それでも何とか、という姿勢は素晴らしいです。何か面白い事がわかるかも知れません。気をつけてほしいことは、思わぬ交雑です。虫が他のアサガオの花粉を運んでこない様に注意する必要がありますね。交雑を防ぐ方法についても、仁田坂先生に聞いてみました。返事は:「小規模な場合花の咲く前日、毛糸やひもで蕾が開かないようにしばっておく方法が簡単です。この際、花の根元(花柄)にも目印のひも等を結んでおきます。大規模には、網をかけた栽培場を作ってその中で栽培します。光りを通す目の細かい園芸用の網が売っておりますので、これをビニールハウスのフレーム等にかぶせて作ります。」
いろんなことを考えて研究しておられること、大変素晴らしいです。将来、研究者になる事も考えてみられればどうでしょうか。
柿本 辰男/仁田坂 英二(大阪大学/九州大学)
みんなのひろばへのご質問有り難うございました。頂いたご質問の回答を、これまでもsyunponさんのご質問に回答を用意して下さっていた大阪大学の柿本先生のお願いいたしましたところ、アサガオの専門家の九州大学の仁田坂先生とご相談の上、以下のような回答をお寄せ下さいました。しっかり勉強して下さい。柿本先生もおっしゃられておられますが、将来、研究者になられますよう期待しております。
[解答]
トランスポゾンを人工的に動かせるか、ということですが、植物がもともと持っているトランスポゾンの動き易さを厳密に制御することはできません。トランスポゾンによっては、高温、低温や、細胞培養などで良く動くようになる事はあります。遺伝子操作技術を用いてトランスポゾンの動き易さを厳密に制御できる植物を作る事も、原理的には可能です。しかし、遺伝子操作は大学等の許可された施設でしか許されておらず、また、高度な技術が必要です。大学生になったらトライしてみて下さい。
また、自然に動いているトランスポゾンによる突然変異体を見つけるということを考えてみましょう。大抵の植物は数万個の遺伝子を持っていて、トランスポゾンがどの遺伝子に入り込むかはランダムです。数万の遺伝子のうち、破壊されると興味を引くような形の変化を引き起こす遺伝子は、それほど多いわけではありません。突然変異体を見つけるには、かなりたくさんのアサガオを植える必要がありそうです。この点について、九州大学の仁田坂先生に聞いてみました。仁田坂先生の答え:「トランスポゾンの転移活性の高い系統として、雀斑(じゃくはん、そばかす、時雨絞り)等、絞り花を持つ系統が挙げられますが、既存のアサガオ系統のほとんどはトランスポゾンの転移が続いています。そのため、どのような系統でも多数栽培すると、トランスポゾンのよる変異(ほとんどが劣性)がアサガオの持つ自家受粉する性質によって劣性変異が目に見える形で表れてきます。これまでの経験ではやはり1,000本程度に1本程度、新規変異が出現してきました。」
また、白色のアサガオを何世代も植えて色が復帰するかどうかの実験ですが、トランスポゾンならば色が復帰した部分が斑点状に現れることが多いですので、可能性は低い様に思います。それでも何とか、という姿勢は素晴らしいです。何か面白い事がわかるかも知れません。気をつけてほしいことは、思わぬ交雑です。虫が他のアサガオの花粉を運んでこない様に注意する必要がありますね。交雑を防ぐ方法についても、仁田坂先生に聞いてみました。返事は:「小規模な場合花の咲く前日、毛糸やひもで蕾が開かないようにしばっておく方法が簡単です。この際、花の根元(花柄)にも目印のひも等を結んでおきます。大規模には、網をかけた栽培場を作ってその中で栽培します。光りを通す目の細かい園芸用の網が売っておりますので、これをビニールハウスのフレーム等にかぶせて作ります。」
いろんなことを考えて研究しておられること、大変素晴らしいです。将来、研究者になる事も考えてみられればどうでしょうか。
柿本 辰男/仁田坂 英二(大阪大学/九州大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-06-11
柴岡 弘郎
回答日:2012-06-11