一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ハンカチノキの雌花

質問者:   一般   群落
登録番号2661   登録日:2012-06-10
ハンカチノキの説明を仲間の学習会でいたしました。手持ちの資料を見ると
「多数の雄花と1個の両性花からなる頭花を形成する」(萩沼一男、『植物の世界4-146』、1995)とあります。確認するために植物園へ行きましたが高いところで咲いているので、花の中まで見ることができませんでした。写真を撮りに2回見にゆきました。その写真を見ながら書いています。

1回目は、多数の紫色の球状に集まった雄花は蕾状態でしたが、その中に緑色の小さな雌花(両性花?)が1個横向きについていました。

2回目は、1週間後ぐらいに同じ場所へ行きました。雄花は開き、白い花糸の先に紫色の葯をつけたたくさんの雄しべが出ていました。緑色の雌花(両性花?)は子房が膨らみ、花柱のように見える柄の先にイソギンチャクの触手のように開いたものが7-8個ほど見えました。その中の構造は、花が高いところにあるので、見ることはできませんでした。そこで、質問です。

【質問1】緑色の花は、① 雌花なのでしょうか、あるいは、上述本にかかれていたように② 両性花なのでしょうか?
【質問2】その場合、花の構造はどうなっているのでしょうか?
【質問3】上の2の質問にも関係しますが、イソギンチャクの触手のように開いたものは花柱が裂けているのでしょうか?
【質問4】雄花が熟す時期と雌花(両性花)が熟す時期は同じなのか、それとも、どちらかがずれているのでしょうか?

以上、宜しくお願いいたします。
群落
群落様

ご質問承りました。ご返事遅くなって失礼しました。

現代生物学大系7c「高等植物C](中山書店)68ページに詳しい図と説明があります。また、
http://www.plantsystematics.org/imgs/jdelaet/r/Cornaceae_Davidia_involucrata_23997.html
http://www.plantsystematics.org/imgs/lkelly/r/Cornaceae_Davidia_involucrata_2193.html
に写真、
http://botanicallyinclined.wordpress.com/category/plant-explorers/
に図があります。
これ以外にもDavidia flowerとかDavidia inflorescenceなどで検索するといろいろ出てきます。

> 【質問1】緑色の花は、① 雌花なのでしょうか、あるいは、上述本にかかれていたように② 両性花なのでしょうか?

荻沼さんが書かれているように、両性花です。上記の写真や図を見ると、花柱の下部に小さな雄しべが写っています。

> 【質問2】その場合、花の構造はどうなっているのでしょうか?

上記、現代生物学大系を図書館などでお探しになってみてください。花床が雌しべを覆い、雌しべと合着して(子房下位となり)花柱のすぐ下に雄花の雄しべよりも短い雄しべが付きます。

> 【質問3】上の2の質問にも関係しますが、イソギンチャクの触手のように開いたものは花柱が裂けているのでしょうか?

ご推察のとおり、花柱が裂けたものです。

> 【質問4】雄花が熟す時期と雌花(両性花)が熟す時期は同じなのか、それとも、どちらかがずれているのでしょうか?

上記のweb pageの写真を見ますと、最初に雌しべが成熟し、その後に雄しべが花粉を出すようです。まず、雌しべが成熟して他の花の花粉が飛んできて他家受粉がおこりのだと思います。他家受粉がおこらなかったときは、自分の花粉が放出されるころにも雌しべが成熟していて、自家受粉もおこるかもしれません。小石川植物園のまわりにはハンカチノキはあまり無いと思いますので、もし、種ができていれば、自家受粉もできるということだと思います。

お役にたてば幸いです。
JSPP広報委員長、基礎生物学研究所
長谷部 光泰
回答日:2012-06-25