一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トウダイグサ科クロトンノキの飛び葉について

質問者:   一般   EMU
登録番号2677   登録日:2012-07-10
クロトンノキ Codiaeum variegatum の葉の形について教えてください。
○○系という葉の形から変葉木とも言われていますが、その中で、飛び葉系という葉の仕組みについての質問です。

葉の先にまた葉?、あるいは、葉が途中で狭くなってまた広がった?

この仕組み、またこういう形のメリットなど教えていただけたらと思います。

ほかの植物でも、こういう仕組みはあるのでしょうか。たとえば、キンギョバツバキなども同じ理由なのでしょうか。

よろしくお願い申し上げます
EMU様

ご回答が遅くなってすいませんでした。ご質問の内容について、専門家の間でも意見がわかれる点が多く、何回もメイルのやりとりをして、最終的に総合研究大学院大学の福島健児先生に下記のような回答をいただきました。

(福島先生の回答)
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。クロトンノキ(Codiaeum variegatum)の葉は品種ごとに多様で、私も非常に興味を持っています。どのようにすればあんなに多彩な葉の形を作り出せるのか不思議でなりませんが、その形作りのメカニズムはほとんど分かっていません。ご質問に完全にお答えすることはできませんが、できるかぎりご説明いたします。

(1)葉の先にまた葉があるのか、あるいは葉が途中でくびれているだけか。

 葉の先に葉ができる、葉身がくびれる、という見方の他に、複葉のような発生メカニズムを使っている、葉身と葉柄が交互に作られるようプログラムされている、など、複数の可能性が考えられます。現状ではどの仮説が正しいのか(あるいは予想できないような可能性なのか)全くわかりませんが、複葉を作るメカニズムや葉柄で側方への成長を抑えるメカニズムと、飛び葉の形作りのメカニズムを比較すれば、仮説の妥当性を検証できるはずです。

(2)飛び葉のメリットはあるのか

鑑賞用の品種ですので自然環境下で役に立つことはなさそうですが、強いて挙げるとすれば、ヒトが好んで増やしてくれる点でしょうか。

(3)ほかの植物でも、こういう仕組みはあるのか

クロトンノキの飛び葉は、基部側の葉身の表側から出るもの、裏側から出るもの、葉身の先端から出るものの3通りがあります。ご指摘の金魚葉椿は、葉身の裏側からもう一度葉身のような構造を作ります。モデル植物シロイヌナズナでは、葉の表裏を決める仕組みがおかしくなると、まれに葉身の先端側からもう一度葉身のような構造を作ることが知られています。しかし、なぜそのような形になるのか詳しいメカニズムはわかっていません。形作りの仕組みがクロトンノキや金魚葉椿と共通かどうかも明らかになっていません。今後、シロイヌナズナで詳細が明らかになれば、その仕組みがクロトンノキや金魚葉椿で成り立っているのかを調べることができるようになるはずです。
JSPP広報委員長、基礎生物学研究所
長谷部 光泰
回答日:2012-07-31
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