一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ヨウ素デンプン反応の教材

質問者:   教員   ヒデ3134
登録番号2678   登録日:2012-07-11
他の教員から指摘があって調べましたが、こうして質問させていただきます。
新学習指導要領に従って、学習内容が変わりました。
光合成によるヨウ素デンプン反応の教材がジャガイモの葉からインゲンマメの葉に変わった理由を教えてください。大日本図書の小学校6年生の教科書を比較して疑問に思いましたが、生物の専門ではなく調べるのに苦労しています。よろしければご回答ください。
ヒデ3134さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
残念ながら小学校理科教科書の作成に経験のある本学会会員は見つけられませんでしたが、高校教科書生物の作成に携わられた経験をお持ちの園池公毅先生に伺いましたところ次のような解説をいただきました。
何を実験材料とするかは実験者の選択の問題で、通常はそれなりの理由があるものです。園池先生も指摘しておられますが、ジャガイモもインゲンもいずれもでんぷん葉ですのでどちらを使用しても同じことだと思います。ジャガイモをインゲンに換えた理由は著者に聞いてみなければ分かりませんが、インゲンは、種子は季節を問わず入手できますし、温度、水分管理さえすれば1年中いつでも幼植物を得ることができますので実験材料としてはより適当だとは思われます。



【園池先生のお答え】
小学校の学習指導要領については知識がありませんが、高等学校学習指導要綱の解説を見ても、特にヨウ素デンプン反応に使用する植物材料について指示があるわけではありません。材料の変更は指導要領の問題ではなく、教科書会社の選択の問題ではないかと推測します。イネ科の植物の多くは葉にデンプンを貯めずに、ショ糖の形で光合成産物を蓄積するため、ヨウ素デンプン反応の実験材料としては不適切ですが、ジャガイモやインゲンであれば、どちらでもヨウ素デンプン反応の実験を問題なく行なえると思います。
他に考えられる理由があるとすれば、季節の問題でしょうか。学習時期が変更になった場合は、それに伴って、その時期に手に入りやすい生物に実験材料を変更するということはよくあります。

園池 公毅(早稲田大学教育・総合科学学術院)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2012-07-13