一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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野菜の甘さ

質問者:   小学生   うーたん
登録番号2679   登録日:2012-07-11
こんにちは。
昨年からの引き続きで、育て方を変えてトマトの糖度が変わるのか実験しています。
先生からの回答を参考にして、今年は与える水の量を変えて、トマトを栽培しています。
登録番号0922を読んでみたら、果物は中心部のほうが糖度が高いと書いてありました。野菜でも中心部のほうが糖度が高くなるのですか?
私は、毎日1リットルの水を与えるトマト、毎日500ミリリットル水を与えるトマト、2日に1回、500ミリリットル水を与えるトマトの3種類で実験しています。水を制限しているトマトには雨よけのビニールもかけています。
水を制限しているトマトは、実は小さいけれど糖度が高いです。ゼリーの部分と外側の部分の糖度もほとんど差がありません。水を毎日あげているトマトは、ゼリーの部分と外側とでは糖度に2度くらい差がでました。
まだ、たくさん測定していないので偶然かもしれません。だから野菜でも、中心部のほうが甘いのかな・・・と思って、先生に質問してみました。
うーたん

再度質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。トマトの実験はうまくいっているようですね。良く考えて計画しているので感心しました。とても良い質問です。果物は確かに中心の方が糖度が高いのが一般的です。それは、葉から運ばれてくる糖は果柄(カヘイ、果実茎をつないでいる部分)を通って果実に入りますので、最初中心部に入り,それから周辺に分布して行くからです。トマトは野菜といわれていますが、植物学ではちゃんとした果実です。だから、他のいわゆる「くだもの」と同じと考えて下さい。もちろん、例外はあります。たとえば、スイカでは中心より一寸周辺の方が甘いようです。(一寸難しいかもしれませんが、登録番号0384を見て下さい。)水を制限したトマトでゼリーと外側の部分で糖度にほとんど差がないのは、果実が小さいので差が出難いのではないでしょうか。スイカ、リンゴ,ナシなどのように果実が大きくなると、差が出てくるのだと思います。果実でなくても、普通の葉野菜でも冬の方が糖度が高くなります。この場合は理由があります。質問コーナーですでに取り上げられていますので、検索して調べてみて下さい。勉強になります。これからも探究心を高めて植物のいろいろな疑問に取り組んで下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2012-08-25