一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トマトは果実?

質問者:   小学生   うーたん
登録番号2680   登録日:2012-07-12
こんにちは。
先生からの回答で、驚いたころがあります。トマトは果物なんですか?
ナス科に所属しているし、野菜だとずっとおもっていました。
いろいろ調べてみても、野菜として分類しているところがほとんどです。
野菜と果物の区別(分類)の決まりがあるのですか?
うーたんさん

 先の回答の中でトマトは「果実」だと書いたので、混乱させてしまったかな?
 大切なことなので説明しましょう。まず、「果実(カジツ)」とは何かということを知って下さい。果実とは生物学で使われる言葉です。種子を作る植物(種子植物といいます)で、花が受粉して、めしべの基部の子房(シボウ)が大きくなって出来るもの(器官)をいいます。子房の他に「がく」や「花托(カタク)」などからできるものもあります。中に種子がはいっています。ふつう私達が「果物(クダモノ)」といっているものは、すべて果実です。それだけでありません。インゲン、エンドウ、オクラ、キュウリ、カボチャ、スッキーニ、ピーマンなども果実です。ところが、これらのものは「果物」とはよばず、野菜の仲間に入っていますね。「野菜」と「果物」は生物学の言葉ではありません。「野菜」とよばれているのはどんなものかというと、ハクサイ、キャベツ、コマツナ、ホウレンソウなどのように「葉」を食べるもの、サツマイモ、ニンジン,ゴボウ、ダイコンのように根をたべるもの、サトイモ,ジャガイモのように茎をたべるもの、インゲン,エンドウ、オクラ、ピーマンなど果実をたべるものがあります。だから、「野菜」とはなにかという区別の決め方は、ある意味であいまいです。野菜をあつかう職業によって決め方まちまちです。しかし、私達にとっては、「野菜」は副食(ご飯などの主食に対して)に使われる植物、つまり、「おかず」として食べる植物だと思って下さい。野菜となる植物はふつう一年で一生を終える草本植物(樹木ではなくて草)です。それにたいして「果物」はおかずではなく、「おやつ」とか「デザート」として食べる果実で、樹になる果実が多いです。。そして、たいがいはあまい/すっぱい味がします。もっとも、最近はもともと果物としてたべていた、メロン類、ミカンの仲間、マンゴーやパパイアなどがサラダに使われたりしますし、パイナップルなど肉料理などにも使われます。ところで、甘いトマトは野菜か果物かというと、それは食べる人が決めたらよいでしょう。「クダモノトマト」などと苦しまぎれな名前も使われていますね。多くの人が甘いトマトをおかずとしてではなく、スイカやモモや、ブドウのようにデザートとしてたべるようになったら、そして、トマトは甘い果実だということになると、果物の仲間入りをすることになるかも知れませんね。うーたんさんの作ったとトマトも果物と呼ばれるくらい甘くなるといいですね。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2012-07-17
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