一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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オジギソウの葉と枝の反応の関係につえて教えてください。

質問者:   小学生   植物大好き
登録番号2682   登録日:2012-07-23
私はオジギソウの実験をしていています。葉をとったら枝がたおれてちゃんとおじぎをしました。葉がなくても枝は刺激など、さわって反応したのでびっくりしました。葉がないと枝もおじぎができないと思っていました。葉が閉じる反応と枝がたおれる反応は べつべつなのですか?

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オジギソウの質問をしましたが、質問を間違えました。
オジギソウの葉をむしり取っても反応があった(枝がたれ下がった)のは1〜2日だけで、後はピンと枝がのびていて反応がありませんでした(葉をむしりとった枝だけ枝がたれ下がらない)。他の枝はたれさがります。
ということは、葉がなくてもしばらくは反応する何かの働きが残っていて、その後その働きがなくなって枝が反応しなくなったのですか?葉が枝がたおれる指令を出しているのですか?気孔や光合成と関係ありますか?
質問をまちがえてすみません。  
植物好きさま

オジギソウの実験、面白そうですね。きちんとした答えをするためには、もっと詳しく実験の内容が知りたいのですが、ご質問の中に書かれていることだけから実験の中身を想像して答えてみます。私の想像したことが違っていたら質問し直して下さい。質問にお答えする前にオジギソウの葉の部分の呼び名についてまとめてみます。植物好きさんが「枝」と呼んでいるのは枝ではなくて葉の一部で「葉柄:ようへい」と呼ばれているものです。葉柄の先のほうに羽の様に小さな葉を付けている部分が普通だと4枚付いています。「羽片:うへん」と呼んでいます。羽片に付いている小さな葉は「小葉:しょうよう」と云います。植物好きさんが枝だと思っていた葉柄と羽片を合わせてたものが1枚の葉です。植物好きさんが「葉をとったら」と云っているのは、多分、葉柄を残して羽片全部を取り除いたことなのではないかと思います。と云うふうに想像して、植物好きさんが観察した結果の理由を考えてみました。もう既に、葉柄と茎の境目が太くなっていることに気付いておられると思いますが、葉枕(ようちん)と呼ばれています。葉枕は葉柄の先のほうの羽片とつながっている所にも、小葉の付け根にもあり、それぞれ、大葉枕、中葉枕、小葉枕と呼ばれています。葉枕には動かす仕組みが備わっています。小葉にそっと触ると小葉枕が働いて葉が閉じます。強く触ると触ったことが中葉枕、大葉枕まで伝えられ、葉全体が動くのです。さて、植物好きさんの実験です。羽片全部を取り除いても、大葉枕は残っているので葉柄を動かすことができます。葉柄に触ると大葉枕が刺激され葉柄が垂れ下がったのだと思います。垂れ下がったのが羽片を取り除いて1〜2日だけだった理由ですが、一つは、植物好きさんも考えておられるように、葉が取り除かれたことにより、葉からの光合成産物の供給がとまり、動かすエネルギーが足りなくなったことが考えられます。もう一つは、葉からのオーキシンと呼ばれている植物ホルモンの供給が絶たれたことです。オジギソウに限らず、葉身(ようしん:葉柄より先の部分)からのオーキシンの供給が減ると、葉柄の付け根に離層というものができるので、葉が落ちやすくなります。葉が落ちなくても、離層が出来ると、茎から葉柄への水の供給が途絶えます。葉枕が動くためには水が必要です。「葉を取り除いたために離層が出来、水の供給が絶たれ、葉枕が動けなくなった」と云う可能性も大きいです。離層が出来ると葉柄は茎から離れやすくなります。葉柄に触ってみて、落ちやすくなっていないかどうかを調べてみるのも面白いと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-07-23