質問者:
中学生
女子マネ希望者
登録番号2691
登録日:2012-08-25
7月16日に登録番号みんなのひろば
オシロイバナの咲き分けについて2
2681でオシロイバナの咲き分けについて質問した者です。追加の質問をさせてください。
人工受粉したのに発芽しなかった種を掘り起こして保存してあります。その種を使ってその種が発芽しなかった理由を調べる方法はありますか。例えば、植物でも有精卵と無精卵のようなことは起こるのでしょうか。
ご回答宜しくお願い致します。 女子マネ希望者より
人工受粉したのに発芽しなかった種を掘り起こして保存してあります。その種を使ってその種が発芽しなかった理由を調べる方法はありますか。例えば、植物でも有精卵と無精卵のようなことは起こるのでしょうか。
ご回答宜しくお願い致します。 女子マネ希望者より
女子マネ希望者 さん:
続けて頂いたご質問の順序が逆になりましたが、2番目のご質問にお答えします。
まず、このような現象は多くなく確かな研究結果が出されていないようですので、推定に限られてしまいます。2つの近縁種を交配したときにその一代雑種が不捻種子を作る例はたくさんありますが、2つの系統の父親、母親を交換して交配したときに、その種子の稔性(発芽する性質 発芽しない性質は不稔性)に違いが出るとするならば種子の形成過程に何らかの異常がおきていることが推察されます。そこで、種子形成を違った局面から研究しておられるお二人の先生に伺いました。お一人は名古屋大学の東山哲也先生、お二人目は奈良先端科学大学院大学の木下 哲先生です。次のようなお返事を頂きました。ご質問にある発芽しない種子も、種子としての形態は正常であったであろうと推察しましています。
【東山先生の解説】
女子マネ希望者さま
興味深いご質問ありがとうございます。発芽しなかった種子を掘り起こして保管していらっしゃるとのこと、研究者顔負けの探究心と思います。
その種子を使って発芽しなかった理由を明らかにするのは簡単ではないと思いますが、少なくとも種子に胚が形成されていたのかどうかは、解剖してみればわかるかも知れません。播種前でしたら、種子の重さを調べたり胚や胚乳(粉の部分)のでき方を調べるなど、本当に正常な種子と差がないか詳しく調べるといいと思います。
発芽しなかった原因ですが、同じ白色の株に、別の花粉を受粉した場合には正常な種子ができている(雌側の組織は正常である)ということで大丈夫でしょうか。いろいろな観察をされているので大丈夫とは思いますが、手元に届いたご質問には記載がないようでしたので、まずはご確認下さい。
今回の交配の組み合わせにおいてだけ、発芽する種子が得られなかったとすると、以下のような可能性が考えられるかも知れません。私もオシロイバナの専門家ではないので、まず学名のMirabilis jalapaと花粉(pollen)をキーワードに、pubmedという生物学者がよく使います論文検索サイトで検索してみました。そうしますと、1999年にAmerican Journal of Botanyという雑誌に発表されたNiesenbaumさんという方の論文がヒットしました。その論文によりますと、オシロイバナにおける種子の形成は、受粉のしかたに依存するということでした。複数の株からたくさんの花粉を受粉するのが最もよく、受粉する花粉の遺伝的多様性や、量が下がると、受精は起こってもその後の種子形成が不全になりやすいそうです。花粉の競争というだけでなく、母親の株が、限られた資源をより期待の持てる花に分配するという解釈がされているようです。この論文をもとに解釈すると、今回人工受粉した株の組み合わせで、遺伝的な背景により(正常な)結実率が低かった可能性や、受粉した(正常な)花粉の量が少なかった可能性などが考えられると思います。
もし本当に植物にそのような仕組みがあるのでしたら、とても面白いと思います。今現在は、分子機構分子は全く不明です。様々な株を交配して、調査を続けられてはいかがでしょうか。
東山 哲也(名古屋大学大学院理学研究科)
続けて頂いたご質問の順序が逆になりましたが、2番目のご質問にお答えします。
まず、このような現象は多くなく確かな研究結果が出されていないようですので、推定に限られてしまいます。2つの近縁種を交配したときにその一代雑種が不捻種子を作る例はたくさんありますが、2つの系統の父親、母親を交換して交配したときに、その種子の稔性(発芽する性質 発芽しない性質は不稔性)に違いが出るとするならば種子の形成過程に何らかの異常がおきていることが推察されます。そこで、種子形成を違った局面から研究しておられるお二人の先生に伺いました。お一人は名古屋大学の東山哲也先生、お二人目は奈良先端科学大学院大学の木下 哲先生です。次のようなお返事を頂きました。ご質問にある発芽しない種子も、種子としての形態は正常であったであろうと推察しましています。
【東山先生の解説】
女子マネ希望者さま
興味深いご質問ありがとうございます。発芽しなかった種子を掘り起こして保管していらっしゃるとのこと、研究者顔負けの探究心と思います。
その種子を使って発芽しなかった理由を明らかにするのは簡単ではないと思いますが、少なくとも種子に胚が形成されていたのかどうかは、解剖してみればわかるかも知れません。播種前でしたら、種子の重さを調べたり胚や胚乳(粉の部分)のでき方を調べるなど、本当に正常な種子と差がないか詳しく調べるといいと思います。
発芽しなかった原因ですが、同じ白色の株に、別の花粉を受粉した場合には正常な種子ができている(雌側の組織は正常である)ということで大丈夫でしょうか。いろいろな観察をされているので大丈夫とは思いますが、手元に届いたご質問には記載がないようでしたので、まずはご確認下さい。
今回の交配の組み合わせにおいてだけ、発芽する種子が得られなかったとすると、以下のような可能性が考えられるかも知れません。私もオシロイバナの専門家ではないので、まず学名のMirabilis jalapaと花粉(pollen)をキーワードに、pubmedという生物学者がよく使います論文検索サイトで検索してみました。そうしますと、1999年にAmerican Journal of Botanyという雑誌に発表されたNiesenbaumさんという方の論文がヒットしました。その論文によりますと、オシロイバナにおける種子の形成は、受粉のしかたに依存するということでした。複数の株からたくさんの花粉を受粉するのが最もよく、受粉する花粉の遺伝的多様性や、量が下がると、受精は起こってもその後の種子形成が不全になりやすいそうです。花粉の競争というだけでなく、母親の株が、限られた資源をより期待の持てる花に分配するという解釈がされているようです。この論文をもとに解釈すると、今回人工受粉した株の組み合わせで、遺伝的な背景により(正常な)結実率が低かった可能性や、受粉した(正常な)花粉の量が少なかった可能性などが考えられると思います。
もし本当に植物にそのような仕組みがあるのでしたら、とても面白いと思います。今現在は、分子機構分子は全く不明です。様々な株を交配して、調査を続けられてはいかがでしょうか。
東山 哲也(名古屋大学大学院理学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2012-07-27
今関 英雅
回答日:2012-07-27