質問者:
小学生
まな
登録番号2723
登録日:2012-08-15
夏休みの自由研究で根についていろいろ調べています。みんなのひろば
豆苗での色水吸い上げ実験
その中で、根の役割を調べるために、豆苗に食紅を溶かしてこした色水を吸わせる実験をしました。
(豆苗を使ったのは、育てていたホウセンカが枯れてしまって使えなくなってしまったからです。また手に入りやすく、色がうすくて、根っこも生えているので、実験にむいているかと思いました。)
吸い上げ方の違いを調べるために、そのままの豆苗と根を切り落とした豆苗に色水を吸わせました。
どちらも色水を吸い上げましたが、分からないことがいくつかあったので教えてください。
1.根を切り取った方が早く葉が染まり始めました。根が有る方は高さ30cmくらい、ない方は高さ20cmくらいです。高さが低いから早く色水が上がったということですか?
2.根がない方は葉脈が赤く染まりました。でも根が有る方は、葉全体が赤くなりましたが、葉脈の部分は緑色のままでした。しかも観察中に新しく生えた葉は根がない方と同じように葉脈だけが赤く染まりました。
理由が考えつきません。教えてください。
3.根が栄養を吸い上げるのに重要だということを実験で示したかったのに、根を切り取ったものも赤くなってしまったので、それを証明できませんでした。家族に相談しましたが、切り花でも水を吸い上げるのだから、短期間の実験では根が必ずしも必要だとは言えないのではないかと言われました。
このまま実験をしばらく続けて根がない方が枯れてしまうことが、根の重要性を証明することになりますか?
4.このような実験で豆苗を使うのはよかったのでしょうか?手に入りやすい植物でほかに何か実験に向いている植物があれば教えてください。
まな さん
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。植物が吸水するとき、根はどのような役割をしているかというとを調べようとしているのですか。三つ(1〜3)の質問はこれまでの観察の結果生じた疑問ということですね。面白い結果のようですね。でも、それぞれの質問に答える前に、まず、私もまなさんに質問があります。1)豆苗はマーケットで売っている根つきのものを使ったのですか。2)その場合、たくさんある中から、実験に使うものをどのような基準(言葉が分からなかったら、ご両親に聞くか、辞書で引いて調べて下さい)でえらんだのですか。3)根のあるものと、ないものはそれぞれ一本ずつ比べたのですか。4)どのようにして水を吸わせ、どのくらい長い間、どんな所において観察したのですか。さてこんな事を聞いたのは、それが分からないとちゃんと答えられないからです。なにが問題なのかを説明しましょう。
植物(生物)の実験ではどのような材料を使うかがとても大切です。もちろん使いやすい材料も大切ですが、「根っ子がはえていて、色がうすい」というだけでは良い材料かどうかはわかりません。色が薄いというのはきっと、もやしになりかかっていたのではないでしょうか。それに、根も健康なじょうたいかどうかも分かりませんね。また、まなさんのように、根がある場合とない場合とを比べるような実験をするときは、一つは根がないだけで、他の部分は全く同じじょうたいであることが大切です。つまり、葉の数,大きさ、茎の長さ、太さなどなどが根のついた豆苗とくらべて、ほとんど違いがないものを使う必要があります。そうでないと、何か違いが観察された時、だだ、根の有る無しだけが原因かどうかはっきりしないからです。もう一つ大切なことは、もし、材料を一本ずつだけ使ったなら、たとえ結果に違いが出ても、本当にそうなのかどうかは分かりません。なぜかというと、使った植物が外見はそっくりでも、なにか特別な事情でふつうではないじょうたい、つまり例外的なじょうたいになっているのかもしれないからです。だから、実験をするときは、ひとつだけでなく、何本も一緒に使います。まなさんの場合だと同じようなじょうたいの根のついた豆苗と根を切り取った豆苗とをそれぞれ5本くらい(多いほどよい)使ってみるとよいでしょう。もし、たとえば、根のない方の5本が全部おなじようなじょうたいを示したら、その違いは多分まちがいないでしょう。一本だけが違ったじょうたいで他の4本は根のある豆苗と同じだったら、多分は違いはないと思われます。違った状態の一本はふつうではないのかもしれません。結果がばらばらだと、ちょっと困りますね.そういうときは、もっとていねいに、また工夫して、実験をやり直す必要がありますね。
ここで、植物が水を吸い上げる仕組みについて簡単に説明しておきましょう。根がある植物では根が土の中に含まれる水分を吸い込む事ができます。その場合、根の先端の部分とその近くの表面に生えている細かい毛のような根(根毛:コンモウといいます)が大切です。根の内部に入った水は根の中心にある道管(ドウカン)という(何本もあります)とても細い管の中に入ります。この管は茎の中を通って植物の葉など地上の部分までつながっています。つまり、植物の身体の中では、根から葉や茎の先まで道管が水の通路としてつながっているのです。そして、道管の中は水道のパイプのように水で満たされているのです。しかし、根からは水が吸い上げられているのですから、水はいったいどこへいくのでしょうか。水は植物の成長のためにいろいろ使われますが、もう一つの大切な役割は、土のなかにある栄養分が水に溶けて水と一緒に身体の中に取り込まれるのです。そのためにも、水はどんどん吸収されるのです。根から吸い上げられた水は全部身体の中に残るのではなくて、その大部分が、葉の表面(大部分は裏面)にある気孔(キコウ)という小さな穴から空気中に蒸発されます(蒸散:ジョウサンといいます)。実はこの蒸散が水を吸い上げる力となっているのです。だから、蒸散が盛んだと、吸水も盛んになります。もちろん水に溶けている物質も一緒に吸収されます。ただし、水以外は身体の中に残ります。蒸散はふつう明るい所でおきます。また、葉のまわりの空気が良く動いている方が(つまり風のある方が)蒸散は盛んです。ふつう気孔は夜は閉じてしまいますので、夜は蒸散はおきません。
切り花のように根を切ってしまった場合は、切り口から直接道管に水が入りますから根をつけてまま、水につけるよりは早く吸水が起きるかもしてません。根を全く傷つけないまま植物を引き抜いて使うということは困難です。しばらく水栽培していて、新しい根が作られてくれば、健全な根として扱うことはできるでしょう。しかし、水だけではなくて、栄養を含んだ水溶液で育てる必要がありますね。茎の切り口を水につける場合、切り花では水の中で茎を切るようにします(お母さんに聞いて下さい)これは、茎を切断することによって、切り口から道知管内空気が入るのをふせぐためです。空気が入ると、これは気泡(キホウ)となって、水の移動をとめてしまうことがあるからです。そうなると吸水はおこらず、植物は枯れます。
以上のことを良く理解して、もういちど実験をやり直してみて下さい。
でも、せっかくですから、質問については答えられるはんいで書いてみます。
1.根を切り取った方が早く葉が染まり始めました。根が有る方は高さ30cmくらい、ない方は高さ20cmくらいです。高さが低いから早く色水が上がったということですか?
「他の条件が同じなら、 背の低い方(茎の短い方)が早く染まるでしょう。今回の実験の目的ために、背丈のちがった材料を使ったのは良くなかったですね。あたらしい実験をしてみてはどうでしょうか。
いろいろな背丈の材料を使って、茎の長さと食紅が植物体に行き渡るまでの時間を比べてみてはどうですか。それを野のあり場合とない場合とで試してみる事です。ただし、実験をするにあたっては、上に書いたことを理解して進めてくださいね。」
2.根がない方は葉脈が赤く染まりました。でも根が有る方は、葉全体が赤くなりましたが、葉脈の部分は緑色のままでした。しかも観察中に新しく生えた葉は根がない方と同じように葉脈だけが赤く染まりました。
理由が考えつきません。教えてください。
「最初に書いたように分からない事があるので、残念ながら何ともいえません。」
3.根が栄養を吸い上げるのに重要だということを実験で示したかったのに、根を切り取ったものも赤くなってしまったので、それを証明できませんでした。家族に相談しましたが、切り花でも水を吸い上げるのだから、短期間の実験では根が必ずしも必要だとは言えないのではないかと言われました。
このまま実験をしばらく続けて根がない方が枯れてしまうことが、根の重要性を証明することになりますか?
「根が栄養を吸い上げるのに重要だということを示す実験」には適切でないでしょうね。いずれにしろ、このままでは、根があってもなくても、植物は死んでしまうでしょう。栄養がないからです。それに、植物によっては、時間がたつと茎の切り口付近から根(不定根:フテイコンといいます)が再生してきます。」
4.このような実験で豆苗を使うのはよかったのでしょうか?手に入りやすい植物でほかに何か実験に向いている植物があれば教えてください。
「豆苗も悪くはないと思いますが、上に書いた事を注意して材料を選んで下さい。ホウセンカはよく実験に使われますね(登録番号1997参照)、面倒くさいとおもわないで、もういちどホウセンカを使ってみてはどうですか。
がんばってやってみて下さい。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。植物が吸水するとき、根はどのような役割をしているかというとを調べようとしているのですか。三つ(1〜3)の質問はこれまでの観察の結果生じた疑問ということですね。面白い結果のようですね。でも、それぞれの質問に答える前に、まず、私もまなさんに質問があります。1)豆苗はマーケットで売っている根つきのものを使ったのですか。2)その場合、たくさんある中から、実験に使うものをどのような基準(言葉が分からなかったら、ご両親に聞くか、辞書で引いて調べて下さい)でえらんだのですか。3)根のあるものと、ないものはそれぞれ一本ずつ比べたのですか。4)どのようにして水を吸わせ、どのくらい長い間、どんな所において観察したのですか。さてこんな事を聞いたのは、それが分からないとちゃんと答えられないからです。なにが問題なのかを説明しましょう。
植物(生物)の実験ではどのような材料を使うかがとても大切です。もちろん使いやすい材料も大切ですが、「根っ子がはえていて、色がうすい」というだけでは良い材料かどうかはわかりません。色が薄いというのはきっと、もやしになりかかっていたのではないでしょうか。それに、根も健康なじょうたいかどうかも分かりませんね。また、まなさんのように、根がある場合とない場合とを比べるような実験をするときは、一つは根がないだけで、他の部分は全く同じじょうたいであることが大切です。つまり、葉の数,大きさ、茎の長さ、太さなどなどが根のついた豆苗とくらべて、ほとんど違いがないものを使う必要があります。そうでないと、何か違いが観察された時、だだ、根の有る無しだけが原因かどうかはっきりしないからです。もう一つ大切なことは、もし、材料を一本ずつだけ使ったなら、たとえ結果に違いが出ても、本当にそうなのかどうかは分かりません。なぜかというと、使った植物が外見はそっくりでも、なにか特別な事情でふつうではないじょうたい、つまり例外的なじょうたいになっているのかもしれないからです。だから、実験をするときは、ひとつだけでなく、何本も一緒に使います。まなさんの場合だと同じようなじょうたいの根のついた豆苗と根を切り取った豆苗とをそれぞれ5本くらい(多いほどよい)使ってみるとよいでしょう。もし、たとえば、根のない方の5本が全部おなじようなじょうたいを示したら、その違いは多分まちがいないでしょう。一本だけが違ったじょうたいで他の4本は根のある豆苗と同じだったら、多分は違いはないと思われます。違った状態の一本はふつうではないのかもしれません。結果がばらばらだと、ちょっと困りますね.そういうときは、もっとていねいに、また工夫して、実験をやり直す必要がありますね。
ここで、植物が水を吸い上げる仕組みについて簡単に説明しておきましょう。根がある植物では根が土の中に含まれる水分を吸い込む事ができます。その場合、根の先端の部分とその近くの表面に生えている細かい毛のような根(根毛:コンモウといいます)が大切です。根の内部に入った水は根の中心にある道管(ドウカン)という(何本もあります)とても細い管の中に入ります。この管は茎の中を通って植物の葉など地上の部分までつながっています。つまり、植物の身体の中では、根から葉や茎の先まで道管が水の通路としてつながっているのです。そして、道管の中は水道のパイプのように水で満たされているのです。しかし、根からは水が吸い上げられているのですから、水はいったいどこへいくのでしょうか。水は植物の成長のためにいろいろ使われますが、もう一つの大切な役割は、土のなかにある栄養分が水に溶けて水と一緒に身体の中に取り込まれるのです。そのためにも、水はどんどん吸収されるのです。根から吸い上げられた水は全部身体の中に残るのではなくて、その大部分が、葉の表面(大部分は裏面)にある気孔(キコウ)という小さな穴から空気中に蒸発されます(蒸散:ジョウサンといいます)。実はこの蒸散が水を吸い上げる力となっているのです。だから、蒸散が盛んだと、吸水も盛んになります。もちろん水に溶けている物質も一緒に吸収されます。ただし、水以外は身体の中に残ります。蒸散はふつう明るい所でおきます。また、葉のまわりの空気が良く動いている方が(つまり風のある方が)蒸散は盛んです。ふつう気孔は夜は閉じてしまいますので、夜は蒸散はおきません。
切り花のように根を切ってしまった場合は、切り口から直接道管に水が入りますから根をつけてまま、水につけるよりは早く吸水が起きるかもしてません。根を全く傷つけないまま植物を引き抜いて使うということは困難です。しばらく水栽培していて、新しい根が作られてくれば、健全な根として扱うことはできるでしょう。しかし、水だけではなくて、栄養を含んだ水溶液で育てる必要がありますね。茎の切り口を水につける場合、切り花では水の中で茎を切るようにします(お母さんに聞いて下さい)これは、茎を切断することによって、切り口から道知管内空気が入るのをふせぐためです。空気が入ると、これは気泡(キホウ)となって、水の移動をとめてしまうことがあるからです。そうなると吸水はおこらず、植物は枯れます。
以上のことを良く理解して、もういちど実験をやり直してみて下さい。
でも、せっかくですから、質問については答えられるはんいで書いてみます。
1.根を切り取った方が早く葉が染まり始めました。根が有る方は高さ30cmくらい、ない方は高さ20cmくらいです。高さが低いから早く色水が上がったということですか?
「他の条件が同じなら、 背の低い方(茎の短い方)が早く染まるでしょう。今回の実験の目的ために、背丈のちがった材料を使ったのは良くなかったですね。あたらしい実験をしてみてはどうでしょうか。
いろいろな背丈の材料を使って、茎の長さと食紅が植物体に行き渡るまでの時間を比べてみてはどうですか。それを野のあり場合とない場合とで試してみる事です。ただし、実験をするにあたっては、上に書いたことを理解して進めてくださいね。」
2.根がない方は葉脈が赤く染まりました。でも根が有る方は、葉全体が赤くなりましたが、葉脈の部分は緑色のままでした。しかも観察中に新しく生えた葉は根がない方と同じように葉脈だけが赤く染まりました。
理由が考えつきません。教えてください。
「最初に書いたように分からない事があるので、残念ながら何ともいえません。」
3.根が栄養を吸い上げるのに重要だということを実験で示したかったのに、根を切り取ったものも赤くなってしまったので、それを証明できませんでした。家族に相談しましたが、切り花でも水を吸い上げるのだから、短期間の実験では根が必ずしも必要だとは言えないのではないかと言われました。
このまま実験をしばらく続けて根がない方が枯れてしまうことが、根の重要性を証明することになりますか?
「根が栄養を吸い上げるのに重要だということを示す実験」には適切でないでしょうね。いずれにしろ、このままでは、根があってもなくても、植物は死んでしまうでしょう。栄養がないからです。それに、植物によっては、時間がたつと茎の切り口付近から根(不定根:フテイコンといいます)が再生してきます。」
4.このような実験で豆苗を使うのはよかったのでしょうか?手に入りやすい植物でほかに何か実験に向いている植物があれば教えてください。
「豆苗も悪くはないと思いますが、上に書いた事を注意して材料を選んで下さい。ホウセンカはよく実験に使われますね(登録番号1997参照)、面倒くさいとおもわないで、もういちどホウセンカを使ってみてはどうですか。
がんばってやってみて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2012-08-17
勝見 允行
回答日:2012-08-17